2017年02月23日更新 鳥インフルエンザA(H7N9)の発生状況 (更新4)

 2017年2月22日にWHOから公表された情報によりますと、台湾の疾病対策センターから、2月4日に鳥インフルエンザA(H7N9)患者1人が検査確認されたことが報告されました。これで、台湾の疾病対策センターから報告された鳥インフルエンザA(H7N9)患者は5人となります。

報告の詳細
 
患者は、69歳 男性。2016年9月18日から2017年1月25日にかけて、中国本土の広東省陽江市に行っていました。彼は、広東省に滞在中の1月23日に発熱と悪寒で発症しました。彼は、1月25日に台湾に戻り、救急病院を受診しました。診察時には、発熱も肺炎もなく、咽頭ぬぐい液によるインフルエンザ迅速検査も陰性でした、翌日に採取された追加検体によるPCR法検査でも、鳥インフルエンザAウイルスに対する検査は陰性でした。

 彼は、2月1日に、発熱、持続性の咳、呼吸困難のため救急病院を再度受診しました。彼は、両側の肺炎と診断され、直ちに呼吸不全のために人工呼吸器が装着されました。2月2日に採取された喀痰検体から、鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスに陽性の判定が出ました。

 この患者の発見後に接触者を追跡したところ、中国本土にいた同僚6人のうち2人が上気道症状を現していましたが、治療により回復していたことが明らかとなりました。患者の家族が2人いましたが、報告の時点では無症状でした。

 これまでのところ、この患者での鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスの感染源は確認されていません。彼は、広東省に滞在中、生きた鳥との接触および生きた家禽類を扱う市場との接触を否定しました。 また、他に感染が疑わしい人との接触も否定しました。台湾に帰国した後は、自宅と病院にいるだけでした。

 2013年初頭からこれまでに、IHRを通して、鳥インフルエンザA(H7N9)の確定診断患者1,223人が報告されています。

 この患者総数には、台湾の感染対策センターから報告された5人、香港特別行政区健康局から報告された20人、マカオ特別行政区から報告された1人、カナダから報告された2人、および マレーシアから報告された1人が含まれています。

公衆衛生上の取り組み
 
台湾の感染対策センターによって取られている対策は、次のようになっています。
・疫学調査、濃厚接触者の追跡、健康監視、患者管理と医学的な経過観察が実施されています。
・原因不明の肺炎に対する調査活動および通常のインフルエンザ定点観測の強化、並びに
 インフルエンザと鳥インフルエンザのウイルスに対する調査活動の強化が行われています
・さらに詳しい調査を行うために、患者の旅行経過が中国本土の国家衛生・計画出産委員会
 (NHFPC)へ知らされました。

 1997年以降、台湾の農業省では、常時、鳥インフルエンザに対する野鳥と家禽への監視が行われてきました。鳥インフルエンザA型(H7N9)ウイルスは、2015年に野鳥から発見されましたが、発生系統の解析によれば、これらのウイルスは、現在中国本土の家禽類が感染し、その家禽との接触によって人も感染している鳥インフルエンザ(H7N9)ウイルスとは別の系統でした。

WHOのリスク評価
 昨年も鳥インフルエンザA(H7N9)の患者数が急激に増加したことが報告されていますが、今シーズンに報告された患者数は昨年を上回っています。2016年10月1日以降に発症した鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスによる患者の数は、2013年以降に報告された患者の数のほぼ3分の1を占めています。

 しかし、鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスの人への感染は日常的に起こるものではありません。関係するリスクを評価し、速やかにリスク管理への対策を図るために、疫学上の発生状況を緊密に観察することと、人に感染した最新のウイルスの特徴を詳しく知ること重要です。

 ほとんどの感染者は、感染した家禽との接触または生きた家禽を扱う市場などのウイルスに汚染された環境との接触によって、鳥インフルエンザA(H7N9)に感染しています。このウイルスが動物や環境中で検出され続けている限り、さらに患者が発生することが予想されます。中国では他の地域で、このウイルスが発見されることなく家禽に流行する可能性があるため、これまでに感染が発生していない地域でも、新たに散発的に患者が発生することが考えられます。

 感染が発生している地域から感染者が国際的に旅行した場合、旅行中または到着後に感染が他の国で発見されるかもしれません。もし、このようなことが起きたとしても、このウイルスは人と人との間で簡単に伝播する能力を持っていないため、さらに地域レベルで拡散するとは考えられていません。

 医療従事者が関係する感染も含めて、これまでにも人への感染の小さな集団発生は報告されてきましたが、現在の疫学的・ウイルス学的な根拠からは、このウイルスが人と人との間で感染伝播を維持し続ける能力は獲得していないことが示唆されています。それ故に、地域レベルで感染が拡がる可能性は低いと考えられます。

WHOからのアドバイス
 WHOは、鳥インフルエンザの発生が確認されている国への渡航者に対し、可能な限り養鶏場への立ち入り、生きた家禽類をさばく市場での動物との接触、家禽を解体する場所への立ち入り、家禽や動物の排泄物で汚染されているとみられるあらゆる物品との接触を避けることを勧めています。渡航者は石鹸と水で手をよく洗い、食品の安全と衛生習慣の維持に努めるべきです。

 WHOは、この事象に関連して、特別な入国スクリーニングおよび渡航や貿易の制限を行うことを推奨してはいません。鳥インフルエンザが懸念される地域を渡航中又は帰国した直後に、渡航者が重症の急性呼吸器症状を発症した場合には、常に鳥インフルエンザウイルスへの感染を鑑別診断として考えておくべきです。

 WHOは各国に対して、重症急性呼吸器感染症(SARI)およびインフルエンザ様疾患(ILI)のサーベイランスを含むインフルエンザのサーベイランスの強化を継続し、通常と異なる傾向がないか慎重に調査し、人症例が生じた際には国際保健規則(2005)に基づき必ずWHOに報告し、各国国民の健康に備える活動を続けていくことを求めています。

 中国に滞在される方は、今後も情報に注意していただくとともに、手洗いや咳エチケットをこころがけてください。また、鳥に直接触ったり、病気の鳥や死んだ鳥に近寄ったりしないようにしてください。入国の際に、発熱、咳、喉の痛みなどの症状がある場合には検疫所に相談してください。

出典

WHO. Disease outbreak news, Emergencies preparedness, response. 22 February 2017
Human infection with avian influenza A(H7N9) virus - China(台湾)
http://www.who.int/csr/don/22-february-2017-ah7n9-china/en/