2017年03月24日更新 結核(10の事実)

3月24日は、世界結核デーです。それに合わせて、WHOより世界の結核事情についての記事が掲載されています。

世界の人々の約3分の1は結核(TB)菌に感染しています。感染している人のほんの一部だけが結核を発症します。免疫力が低下した人は、結核に発症するリスクがはるかに高くなります。HIVに感染している人は、活動性の結核を発症する可能性が約26~31倍も高くなっています。

2030年に向けた継続的な発展への目標の1つは、世界で結核の流行を終息させることです。2014年のWHO総会会議で承認されたWHOの"End TB Strategy"「結核終息への戦略」では、2015年に比べて、2030年までに結核での死亡率を90%、結核の感染率を80%減少させることが求められています。

WHOから出された新たなデータでは、世界での結核の脅威は以前に考えられていたよりも高くなっていることが明らかになりました。"End TB Strategy"「結核終息への戦略」の目標が、今後15年以内に達するためには、各国が、今以上に、結核の予防、発見、治療に対し、速やかに行動する必要があります。

事実1
2015年に、世界で1,040万人が新たに結核患者になったと推定されます。患者数の最も多いのはインド、次いでインドネシア、中国、ナイジェリア、パキスタン、南アフリカ共和国で、これら6か国で全体の60%が占められています。けれども、結核は治る病気です。そして、予防できる病気です。

事実2
2015年に、HIV患者40万人を含む180万人が結核で死亡しました。結核は、2015年の10大死亡原因のひとつで、HIVやマラリアを上回っています。

事実3
2015年に、100万人の子どもが結核を患い、HIVに感染した子ども4万人を含む21万人が結核で死亡しました。結核を患った子ども(の数)は、診断や治療が難しいために、しばしば医療保健の関係者からは低く見積もられています。

事実4
結核は、HIV感染者において最も多い死亡原因です。HIV感染者の死亡原因の約35%は結核によるものです。2015年に、抗ウイルス治療を受けているHIV感染者で結核に感染した人の割合は78%でした。

事実5
世界では、結核に感染した人の数は減ってきており、結核での死亡者の数は2000年から2015年までの間に22%低下しました。2010年以降で死亡率の低下が大きいのは、東地中海地域とヨーロッパ地域(それぞれに年間6.5%と6.2%)でした。一方、最も低下が小さかったのはアフリカ地域(年間2.2%)でした。

事実6
2015年に、結核の脅威の高い30の国で、新たな結核患者87%を占めていました。結核は世界のすべての地域で発生していますが、患者の大半はアジア(61%)とアフリカ(26%)にいます。

事実7
2015年に、48万の人々が多剤耐性結核を発症したと見られています。患者の一部は、治療の受け方が悪く、さらに困難な多剤耐性結核になっている可能性があります。このスーパー多剤耐性結核は、治療に使える薬剤がさらに少なくなってしまった結核の形態です。

事実8
世界では、2000年から2015年までの間に4,900万人のいのちが結核の治療で救われました。2014年における結核患者での治療成功率は、83%でした。

事実9
2015年に、患者は新たに1,040万人発生したとみられていますが、感染が発見され、本人に知らされたのは610万人に過ぎませんでした。430万人の差がありました。2014年から2015年にかけて、世界で結核に感染した人の割合は、1.5%の減少に留まりました。しかし、2020年までに"End TB Strategy"「結核終息への戦略」の最初の試金石に到達するには4%から5%に加速させる必要があります。

事実10
結核の治療と予防に向けた低所得国や中所得国での投資は、2016年に必要とされる投資額83億USドルに20億USドル不足するまでに落ち込んでいます。もし、投資基金のレベルが現在から増えることがなければ、この差は2020年までに拡がるものと予想されます。

出典

WHO.Fact files, Media centre.Reviewed March2017
10facts on tuberculosis
http://www.who.int/features/factfiles/tuberculosis/en/