2017年06月19日更新 髄膜炎菌感染症の発生報告- ナイジェリア(更新)

 アフリカにおける感染症の発生状況の週報[第23週(6月3日-9日)]が公表されました。ここでは、今週、新しく報告に加わった記事のうちナイジェリアで発生が続いている髄膜炎の発生状況について取り上げます。

髄膜炎の発生状況

 新たな脳脊髄膜炎の患者報告が着実に減ってきています。ナイジェリアでは、ピーク時の疫学第14週と15週には一週間に約2,500人の新たな患者がみられましたが、2017年疫学第22週には新たな患者が約80人となりました。調査活動の強化体制が、流行の警告レベルを超えた発生率をともなう12の地方行政府(LGAs)で続けられており、流行の警告レベルに達している12の地方行政府(LGAs)では大規模な流行調査と感染制御対策が繰り広げられています。

 2017年6月8日までに、疑い患者14,513人と死亡者1,166人(全例死亡率、CFR:8%)が、25州から報告されました。このうち、Zamfara、Sokoto、Katsinaの各州で最も発生が多くなっています。報告された患者の47%は、5-14歳の小児でした。臨床検査が998人について完了し、そのうち460人(47%)が細菌性髄膜炎と確認されました。陽性と判定された患者のうち、C群髄膜炎菌が髄膜炎の大部分(81%)を占めていました。

 2017年6月6日に、WHOによる第3回リスクアセスメントが行われました。このアセスメントでは、国、地域、世界レベルともにリスクは低くなったとされ、緊急時の格付けの改訂が勧告されました。

公衆衛生上の取り組み
・ナイジェリア疾病管理センター(NCDC)および州保健省は、 WHO、ユニセフ、CDC(米国)、メリーランド大学、NFELTP (Nigeria Field Epidemiology & Lab Training Program:アメリカCDCの疫学訓練のナイジェリア版)、eHealthアフリカ(インターネット健康プログラム)、国境なき医師団(MSF)、国際ロータリー・クラブなどとともに、この流行への国と地域の感染対策の調整を図っています。
・WHOは、地域社会レベルおよび州レベルでの調査活動を強化するために、専門家を動員し、地域の500人の情報提供(協力)者の訓練を行いました。(また)患者管理のためのプロトコール20,000部と監視が強化された標準業務手順書(SOPs)が印刷され、感染の発生の激しい州に配布されました。
・WHOがSokoto州とZamfara州への保健医療関係者10チーム50人の派遣を支援することで、患者管理の強化、死亡率の低下、脳脊髄液の採取率の向上を支えました。
・Zamfara州とAbuja(首都アブジャ)にある2つの検査施設の対応能力が強化されました。検体採取と検査診断の能力を向上させるために、腰椎穿刺キット、Pastorex(髄膜炎簡易検査キット)、その他の検査用試薬や必需品が配布された。WHOはガンビアのMRC(医療研究施設)や英国公衆衛生学からの専門家を手配し、現地の対応能力を確立させました。
・Zamfara、Katsina、Sokotoの各州では、流行に対するワクチン接種キャンペーンが行われてきました。これらの州では、1歳から30歳の住民合計2,118,035人(86.7%)に、(流行性髄膜炎コントロールのためのワクチン接種対策の)国際調整団体(ICG)から提供されたAC、ACW、ACYW型の多糖体ワクチン、英国からWHOに提供された髄膜炎菌C型の結合型ワクチン(新たに報告される患者の頻度が大幅な低下することに寄与したワクチン)が接種されています。
・今後の季節性の流行への対策準備を向上させるために行われた活動後の検討会議の一部として、(今後に活かせる)経験を記録し、推奨事項を作成する取り組みが行われており、評価のための研究集会が2017年7月下旬に予定されています。NCDC、国の一次医療を整備推進する省庁(NPHCDA)、およびその他の支援機関は、ギャップを埋め、対策への備えと体制作りを強化に取り組む一環として、髄膜炎に関するリスクの効果的な伝え方について、北部19州の公衆衛生の指導者と統括責任者に1週間の集中会議が実施されました。

発生状況への認識

 現在も、この流行は続いていますが、発生率が持続に低下していることは、流行が終息に近づいていることを示唆しています。今回の流行で発見された疑い患者数が多い(理由)は、感度の高い標準の診断基準(の使用)とともに、一部では調査活動の強化による調査体制の改善が反映されています。NCDCによって提供される現場支援で、検体の採取率および検体検査の完了率にも中等度の向上が見られました。しかし、この地域には改善すべき点がまだまだ残っています。

 現在、今後の流行に備えて関心が集まっていることから、今回の流行で実施された改善点にさらに踏み出し、保健衛生体制の全体強化を図り、再び髄膜炎の流行で罹患率や死亡率が高くなることを抑える予防活動を強化していくことが重要です。

出典

AFRO/WHO. Outbreaks and emergencies updates, Programmes. 9 June 2017
Weekly Bulletin on outbreaks and other emergencies. P.6. Week 23: 3 - 9 June 2017
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/255653/1/OEW23-030962017.pdf?ua=1