2017年07月10日更新 ヨーロッパにおける麻しんの流行 (更新6)

麻しん(はしか)は、麻しんウイルスによって起こる病気です。空気感染、飛沫感染、接触感染によって、人から人にうつります。その感染力はウイルスの中で最も強く、麻しんを発症している人と同じ部屋にいるだけで(空気)感染することがあります。また、免疫を持っていない人が感染するとほぼ100%発症し、肺炎や脳炎などの重い合併症を起こすこともあります。

欧州のいくつもの国で麻しんの流行が発生しており、2017年7月7日付けで、欧州疾病対策センター(ECDC)は注意を呼びかけています。ルーマニアでは、昨年1月から今年6月30日までに、死亡者31人を含む麻しん患者7,491人が報告されました。また、欧州各国でも、2017年に入り、患者数の増加が続いています。

*原文では、この他に、オーストリア(79人)、ブルガリア(161人)、ドイツ(766人)、イタリア(3,346人)、ポルトガル(31人)、スペイン(137)からの情報が更新されています。また、2017年に、ベルギー、チェコ、デンマーク、フランス、ハンガリー、アイスランド、スロバキア、スウェーデン、イギリスでも、麻しんの発生が報告されています。

詳しくは、原文でお確かめください。

感受性の高い集団がある地域では、感染が広がり、伝染する危険性があります。欧州の多くの国では、2回のMMRワクチン接種を完了した者の割合は95%未満で、感染に罹りやすく、感染が拡大する可能性があります。WHO欧州地域の加盟国では、麻しんの撲滅に向けて着実に取り組みが進められていて、2016年10月に開かれた第5回麻疹および風疹会議(RVC)では、欧州地域53か国のうち24か国(うちEU / EEA地域では15か国)で、麻しん撲滅の目標を達成したと宣言されましたが、ベルギー、フランス、ドイツ、イタリア、ポーランド、ルーマニアの6か国では、依然として、麻しんが常在していると判断されています。

麻しんは予防接種で予防することができる病気ですが、予防効果を確実にするためには、2回の接種が必要です。海外の麻しんの流行がみられる地域へ渡航する前には、母子健康手帳などで、予防接種歴を確認してください。麻しんに罹かったことがない方で、麻しんの予防接種を受けたことがない方や1回しか接種していない方、または予防接種を受けたかどうかがわからない方は、渡航する前に、早めに医師に相談してください。

●感染症別情報:麻しん

出典

ECDC. News. 7 July 2017
Epidemiological update: Measles - monitoring European outbreak
https://ecdc.europa.eu/en/news-events/epidemiological-update-measles-monitoring-european-outbreaks-7-july-2017

参考

FORTH最新ニュース
麻しんについて(ファクトシート)(2017年4月)
https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/2017/04071107.html
厚生労働省
麻しん(はしか)に関するQ&A
https://www.mhlw.go.jp/qa/kenkou/hashika/index.html
国立感染症研究所
感染症情報麻疹
http://www.nih.go.jp/niid/ja/diseases/ma/measles.html