2017年07月20日更新 マラリアの発生- ブルンジ

アフリカにおける感染症の発生状況の週報[第27週(7月1日-7日)]が公表されました。ここでは、ブルンジマラリアの発生について取り上げます。

マラリアの発生状況

ブルンジのマラリア流行の発生状況は、高い罹患率と死亡率を引き起こしながら、激しい伝播が衰えることなく、続いています。傾向として、この病気は、この10週間、増えていきています。第24週に報告された患者は170,048人および死亡者は61人(致死率0.04%)でしたが、第25週(2017年6月25日まで)には、死亡者102人(致死率0.06%)を含めてマラリアの患者173,355人が報告されました。2017年初め以来、6月25日までに、死亡者1,996人(致死率0.05%)を含む患者4,376,804人が報告されました。一方、2016年には、合計で患者8,169,484人と死亡者3,826人が登録されました。また、全国で高いマラリアの脅威が報告されていますが、北部、中部および東部地域で最も大きな感染が発生しています。全国18県のうち、カルジ県(Karusi)、ギテガ県(Gitega)、ムユンガ県(Muyinga)、キルンド県(Kirundo)、カヤンザ県(Kayanza)、ヌゴジ県(Ngozi)、ブバンザ県(Bubanza)、カンクゾ県(Cankuzo)、チビトケ県(Cibitoke)、ルイギ県(Ruyigi)の10県では、流行閾に達しました。10県で(国民)人口の63%が危険にさらされていることを示しています。発症率が51.9%もあり、マラリアは、ブルンジでの罹患率と死亡率の主要な原因となっています。

2014年以降、ブルンジではマラリアの発症率が上昇しています。しかし、流行閾には2016年に達しました。この流行は、2017年1月に実施された多くの学術領域にわたる調査で確認されました。この調査では、マラリア発生の増加が予想された閾値を上回ることが示されました。(このため)保健省は、2017年3月13日に、正式に流行を宣言しました。

ブルンジでのマラリアの流行は、(政情の)不安定、大規模な住民の移動、食料(供給の)不安定で特徴づけられる人道危機の悪化を背景に、発生しています。国際移住機構(IMO)は国内移住民が149,028人、加えて、受け入れ側の地域社会の住民が86,014人いると見積りました。

公衆衛生上の取り組み

  • テーマ別の対策サブグループ(感染動向調査、評価、予防と治療)は、定期的な調整会議を続けています。流行の拡大状況を監視するために、毎週の感染動向に関するデータの分析と解釈が行われています。
  • 合計で、医療職75人と医療周辺職員(看護師や検査技師)200人が、マラリア患者の臨床管理を強化するために最も感染の発生している地域に配置されました。
  • 2017年6月以降、キャンペーンによる長時間持続性殺虫ネット(LLINs)の全国規模での配布に備えて、(配布)表と世帯への交換券の配布が行われています。この全国キャンペーンは、2017年7月10日から14日に予定されており、6,471,965個の長時間持続性殺虫ネット(LLINs)が配布される予定です。
  • カンクゾ県、カルジ県、ルタナ県(Rutana)で2回目の屋内残留殺虫剤噴霧を行うために、殺虫剤の事前配置が進められています。
  • 感染の発生した地域社会にマラリアの患者管理を拡大する目的で、6つの地域(ヌゴジ県、ギテガ県、キルンド県、ムユンガ県、カヤンザ県、ルイギ県)で移動診療所を運営するために、合計で、医療従事者126人が動員され、訓練を受けました。
  • WHOは、発症率の管理者、健康情報担当者、疫学者、現地コーディネーター(調整役)、物資輸送の専門家などの中心となる人員を配置して、ブルンジの対応能力を強化しています。(また)医療従事者と公衆衛生の専門家を追加配置する手続きが進められています。緊急リスク評価が行われ、2017年7月10日月曜日に、3つのレベルへの等級付けが実施されます。
  • 定期予防接種、ビタミンAの投与、駆虫薬、妊婦検診、妊婦への石けんの配布および自発的な献血など一連のサービスを含めて、集約されたMother-Child Health Week(母子健康週間)のキャンペーンが、2017年6月19日から23日に、行われました。

発生状況への認識

ブルンジでのマラリアの流行は、対策への介入が続けられているにもかかわらず、拡大が続いています。この10週間、患者の発生率が増加しています。流行の拡大に影響している主な要因には、流行の対策で不十分なものの大きなものから、洪水の再発、(蚊が)好む気候条件、人員、財政、物流輸送の資源、さまざまな(政治)レベルでの細やかな多領域にわたる協力体制などがあります。これらの要因は、現在も続く人道危機と食糧不足によって酷さを増し、深刻で急激な栄養障害を引き起こして、子どもたちの感染への危険を高めています。

このマラリア流行の対策計画は、有効でよく知られた強い影響力のある介入を取り入れて、早急に拡大する必要があります。これは、特に、感染伝播が大きくなる雨季が近付くに連れ、重要となります。WHOは、全ての関係者、政府と支援組織の両者に、必要となる人的・物的資源を導入し、地域レベルで効果のある感染制御への介入の実施を強化するように要求しています。

出典

AFRO/WHO.Outbreaks and emergencies updates, Programmes. 7 July 2017
Weekly Bulletin on outbreaks and other emergencies. P.2. Week 27: 1 - 7 July 2017
http://reliefweb.int/report/democratic-republic-congo/who-afro-outbreaks-and-other-emergencies-week-27-1-7-july-2017-data