2017年08月09日更新 鳥インフルエンザA(H7N9)の発生状況 (更新20)

 2017年8月7日にWHOから公表された情報によりますと、中国の国家衛生・計画出産委員会(NHFPC)から、7月11日、14日、21日に、新たに鳥インフルエンザA(H7N9)患者3人が検査で確認されたことがWHOに報告されました。

報告の詳細

2017年7月11日の報告
 患者は35歳 男性。6月23日に発症し、6月30日に死亡しました。この患者は、2015年4月に新疆ウイグル自治区で患者が初めて報告されて以来のことです。彼は、生きた家禽の取引と販売をしていました。

2017年7月14日の報告
 患者は、雲南省に住む54歳 男性。6月23日に発症し、6月28日に重症肺炎のために入院しました。彼は、生きた家禽の市場で接触機会のあったことが報告されています。

2017年7月21日の報告
 患者は、江蘇省に住む62歳 女性。7月12日に発症し、7月13日に重症肺炎のために入院しました。彼女は、生きた家禽の市場で接触機会のあったことが報告されています。

 中国政府は、これまでの流行状況およびリスク評価を踏まえて、中国では散発的に患者が発生する可能性が、依然として高いと評価しています。

 2013年初頭からこれまでに、IHRを通して、鳥インフルエンザA(H7N9)の確定診断患者1,557人が報告されています。

公衆衛生上の取り組み

 中国政府は、国と各地方のレベルで、次のような予防対策を続けています。
・(リスク)評価と感染予防および感染制御を強化するために、各省に引き続き指示を行っています。
・生きた家禽市場および地域間の輸送への衛生管理に重点をおいた感染制御への対策強化が続けられています。
・有効な感染予防と感染制御への対策の周知を図るために、感染源に関する詳しい調査が行われています。
・死亡率を低下させるために、鳥インフルエンザA(H7N9)感染者の早期に発見・治療が続けられています。
・自らを感染から守るための指針を国民に向けて示すために、リスクに対する情報の伝達と問題点となる情報への注意喚起の徹底を、引き続き、実施しています。
・感染の予防と管理のためのさらに(詳しい)ガイダンスを提供するために、感染地域でのウイルス流行のレベルや突然変異への理解を深めるためにウイルス学における調査活動が強化されています。

WHOのリスク評価

 昨年も見られたように、毎週報告される鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスへの感染者数は、夏の数か月にわたり減ってきています。しかしながら、2016年10月1日以降に発生した5回目の流行の波での患者数と地域分布は、これまでの流行の波よりも大きくなっています。これは、ウイルスが広がっていることを示しており、人と動物、両方の健康領域でより強化した調査活動と感染制御対策が重要であることを強調しています。

 疫学調査からの動向によれば、毎週の報告される患者数は、2月初めにピークに達し、徐々に減ってきているようです。今年の患者のピークは、前年の患者のピークとタイミングが一致しています。

 ほとんどの患者は、生きた家禽を扱う市場などで、感染した家禽との接触またはウイルスに汚染された環境との接触を通して、鳥インフルエンザA(H7N9)に感染しています。このウイルスは動物や環境中で検出され続けており、生きた家禽の販売が続けられているため、さらに患者が発生することが予想されます。まだ、患者が報告されたことのない中国の他省でも、新たに鳥インフルエンザA(H7N9)への散発的な感染者が現れることは、予想されます。また、中国と国境を接する国で、散発的に鳥インフルエンザA(H7N9)の患者が発生することは、予想されないことではありません。これまでにも同じ部屋にいた患者が関係した事例など、小さな集団で鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスへの感染が発生したことは報告されてきましたが、現在の疫学的・ウイルス学的な根拠からは、このウイルスが人と人との間で感染伝播を維持し続ける能力は獲得していないことが示唆されています。そのため、地域レベルで感染が拡がる可能性は低いと考えられます。

 直近のウイルスの疫学的な発生状況や新たな特徴について詳細に分析することは、リスクを評価し、リスク危機の対策の調整を図り、速やかに対処していく上で不可欠となります。

WHOからのアドバイス

 WHOは、鳥インフルエンザの発生が確認されている国への渡航者に対し、可能な限り養鶏場への立ち入り、生きた家禽類を扱う市場での動物との接触、家禽を解体する場所への立ち入り、家禽や動物の排泄物で汚染されているとみられるあらゆる物品との接触を避けることを勧めています。渡航者は石鹸と水で手をよく洗い、食品の安全(への注意)と衛生習慣の維持に努めるべきです。

 WHOは、この事象に関連して、特別な入国スクリーニングおよび渡航や貿易の制限を行うことを推奨してはいません。これまでと同様に、鳥インフルエンザが懸念される地域を渡航中又は帰国した直後に、渡航者が重症の急性呼吸器症状を発症した場合には、常に鳥インフルエンザウイルスへの感染を鑑別診断として考えておくことが必要です。

 WHOは各国に対して、重症急性呼吸器感染症(SARI)およびインフルエンザ様疾患(ILI)のサーベイランスを含むインフルエンザのサーベイランスの強化を継続し、通常と異なる傾向がないか慎重に調査し、人での症例が発生した時には国際保健規則(2005)に基づき必ず報告し、引き続き各国国民の健康維持に備えることを要請しています。

 中国に滞在される方は、今後も情報に注意していただくとともに、手洗いや咳エチケットをこころがけてください。また、鳥に直接触ったり、病気の鳥や死んだ鳥に近寄ったりしないようにしてください。入国の際に、発熱、咳、喉の痛みなどの症状がある場合には検疫所に相談してください。

出典

WHO. Disease outbreak news, Emergencies preparedness, response. 7 August 2017
Human infection with avian influenza A(H7N9) virus - China
http://www.who.int/csr/don/07-august-2017-ah7n9-china/en/