2017年09月20日更新 トラコーマの撲滅の達成 -カンボジア、ラオス

 2017年9月19日付けで公表されたWPRO(西太平洋地域事務局)のハイライト記事によりますと、カンボジアラオスで、感染症による失明原因の主原因であったトラコーマの撲滅が達成されました。

記事の詳細

 WHOは、公衆衛生上の問題として、カンボジアとラオスでトラコーマが撲滅されたことに、祝意を示しました。

 トラコーマは、クラミジア・トラコーマ(Chlamydia trachomatis)細菌への感染で起こる目の病気です。世界では、感染症による失明原因の主原因となっています。感染は、感染した人、特に、幼い子どもの目や鼻からの分泌物と接触することで拡がります。また、感染は、感染した人の目や鼻に停まったハエからも拡がります。感染経路は、粗末な上下水道の衛生環境と密接に関係します。
 数年にわたり何度も感染を繰り返すと、まぶたの内側が分厚く瘢痕を形成し、内側に巻き込んでいきます。その結果、睫毛が眼球を擦るようになり、目を傷つけ、失明の原因となります。

「トラコーマは、貧困が起こす病気です。清潔な水や衛生環境を利用することが難しい地域の住民に感染が最も起こりやすくなります。しかし、カンボジアやラオスのように、公衆衛生上の問題として、これに取り組むことは可能です。両国は、国民の健康を護るために適切な投資を行ったことで、これを成し遂げました。」と、WHO西太平洋事務局局長Shin Young-soo博士は述べました。

 トラコーマは、カンボジアでは1990年代以降に、ラオスでは1970年代以降に、問題として認識されました。
 1997年に、WHOは、2020年までにトラコーマを世界から撲滅させるための同盟を締結させ、開始しました(GET2020)。WHOは、同盟を締結した他の加盟国とともに、SAFE戦略(S:トラコーマ睫毛乱生症の手術、A:症状のある感染を治療するための抗生物質、F:顔の清潔保持、E:感染経路を狭めるための環境改善)を実施する各国を支援し、疫学的評価、疾病の監視と発生調査、トラコーマを撲滅するための計画の評価、人的・物的資源の導入などを通じて、各国の対策能力を強化してきました。
 1998年に、WHO総会は、公衆衛生上の問題として、トラコーマの撲滅に照準を合わせた決議案を可決しました。その後、(この取り組みには)大きな進展がみられ、公衆衛生問題として、国をあげてのトラコーマの撲滅の手順書作成に照準を合わせ、これに取り組む感染常在国が増えていきました。

 カンボジアでは、2000年に、トラコーマに関する一連の簡易評価が実施されました。その結果は、トラコーマ睫毛乱生症の手術の提供、地域社会の中での治療、保健教育など、トラコーマの感染制御への活動展開を国に促すことになりました。ラオスでは、国の保健体制を通して、トラコーマのスクリーニング検査と治療の提供を実施することが、効果を上げました。両国では、生活水準、水道の普及、上下水道などの衛生環境の管理などが向上を続けていることも、この数十年にわたりトラコーマを著しく減少させることに寄与してきました。

 カンボジアとラオスでは、2014年から2016年にかけて、独立した検討グループによる厳格な評価が行われ、いずれの国も、現在、トラコーマは公衆衛生問題ではないと結論づけられました。

「私たちは、失明を起こす痛ましい顧みられない熱帯病であるトラコーマの撲滅に取り組んできました。カンボジア総理大臣Samdech Akka Moha Sena Padei Techo Hun Senによる強力なリーダーシップと支援の下に、そして、任命された保健局の責任者と担当者の責任感とともに、国家プログラムを通じて保健省が主導してきた(トラコーマに)照準を合わせた計画が効果を上げていることが示されました。私たちには、この地域で同様の成果を願う周辺の国々とも体験を共に分かち合う準備ができています。」とカンボジア保健大臣Mam Bunheng博士は述べました。

「ラオスでは、失明に至るトラコーマが常在していました。特に、就学前の児童での感染が多く、一部の地域では罹患率が高く60-90%もありました。この病気を撲滅したことで、私たちの子どもたちは、現在では、この痛々しく、失明に至る可能性のある感染から逃れ、安心して育つことができます。これは、私たち国民のとって素晴らしい成果であり、今後の何十年にもわたり恩恵を与えるでしょう。」と、ラオス保健大臣Bounkong Syhavong博士は述べました。

 WHOは、公衆衛生上の問題として、i)活動性のトラコーマ(トラコーマによる炎症 - 濾胞の形成)の徴候を有する1〜9歳の子どもを5%以下に抑えること(これらの子どもには抗生物質点眼剤による治療を必要とします)、ii)眼瞼手術が必要な(レベルの)かなり進行した病態(トラコーマ睫毛乱生症)を有する15歳以上の成人を0.2%未満に抑えること、iii)その国の保健体制が、トラコーマ睫毛乱生症の新たな患者を発見し、管理できること、をトラコーマの撲滅の認証としています。
 カンボジアとラオスは、公衆衛生上の問題として、WHO西太平洋地域でトラコーマの撲滅を達成したことが認証された初めての国です。この他にも、8か国(オーストラリア、中国、フィジー、キリバス、パプア・ニューギニア、ソロモン諸島、バヌアツ、ベトナム)には、失明に至るトラコーマが常在しています。

出典

WPRO/WHO. Highlights, Media release. 19 September 2017
Cambodia and the Lao People's Democratic Republic wipe out trachoma --leading infectious cause of blindness
http://www.wpro.who.int/mediacentre/releases/2017/20170919/en/