2017年10月02日更新 チクングニア熱の発生-イタリア(更新2)

 2017年9月29日にWHO(世界保健機関)から公表された情報によりますと、イタリアで国内感染によるチクングニア熱の発生が追加報告されています。感染者数が、さらに増えています。発生地がローマ近郊のため、感染にはご注意ください。

情報の詳細

 2017年9月26日までに、イタリア・ラツィオ州で183人の患者が報告されました。Anzio(アンツィオ)、Latina(ラティーナ)といった海岸線地域とともに、ローマ市内でも報告されています。報告された患者のうち、109人は診断が確定し、最近の患者74人は検査の途中です。すべて、疫学上はラツィオ州に関連した患者です。また、確定患者3人が他の地域からも報告されています。この患者たちには、Anzio(アンツィオ)への旅行歴があります。

 発端となる患者の発症日は、2017年6月26日でした。

公衆衛生上の取り組み

 イタリア政府は、チクングニア熱の調査および対策の計画に基づき、次のような公衆衛生対策を実施しています。
・アンツィオとローマの各地域では、媒介昆虫の駆除と制御への対策が行われています
・チクングンア熱と蚊刺しから身を守るための情報が住民に提供されています。健康省のウェブサイトには、チクングンア熱に関係するページが開設されています
・輸血による感染を防ぐための対策が取られています
・医療従事者に対して、患者を管理するための情報とガイドラインが提供されています

 2017年9月8日に、国立衛生研究所(Istituto Superiore di Sanità)が、この感染発生について声明を出しました。

 2017年9月28日には、空港や港湾での(蚊の)駆除を含め、国レベルでの調査活動と感染制御活動を強化するために、保健省から新たな勧告事項が通知されました。

WHOのリスク・アセスメント

 以下の点に基づいて、さらに(感染が)拡がる可能性があります。
・地中海は全地域にヒトスジシマカが生息していること
・この媒介蚊は、過去にもチクングニア熱の流行を持続させる能力を証明していること
・現在、患者がいる地域は、夏のシーズンであり、特に人々が盛んに観光に訪れていること

 この病気は、主にアフリカ、アジア、アメリカ、インド亜大陸で発生しています。チクングニア熱への感染は、ヨーロッパでは、2007年にイタリア北東部Emilia Romagna(エミリア・ロマーニャ)州で初めて報告されました。その発生中に、患者217人が確定診断され、ヨーロッパでもヒトスジシマカによる感染流行の可能性があることが確認されました。現在、これとは別に、Var(ヴァール県、フランス)でも8月初めからの国内感染の流行が続いています。

WHOのアドバイス

蚊刺しへの予防
 イタリアのこの地域で暮らす住民と旅行者は、基本的な予防対策を行うことが必要です。この対策には、虫除け剤の使用、長袖と長ズボンの着用、蚊の侵入を防ぐための網戸の設置などがあります。

 日々、蚊刺しに曝される皮膚の露出を、最小限に抑えた服装が勧められます。虫除け剤は、製品ラベルの指示を厳格に守って、露出した肌や衣服に塗布します。虫除け剤には、DEET、IR3535、またはイカリジンが含まれていることが必要です。人は蚊帳の中で睡眠を取り、空調や網戸を使って蚊に刺されないようにする必要があります。蚊取り線香やその他に気化器による殺虫剤にも、室内での蚊刺しを減らす可能性があります。

媒介する蚊の駆除
 ヒトスジシマカは、使われていない車のタイヤ、植木鉢の底の受け皿、雨水の貯留タンクや水槽、並びに排水溝の溜まり場のような人工的な貯水地に加えて、樹木の穴や岩場の窪みなどの広範囲に水が溜まる場所で繁殖します。

 感染の予防と制御(の効果)は、こういった蚊の繁殖を助ける水の溜まり場での繁殖数を減らすことに大きく依存します。この対策には、感染の発生地域での地域活動と媒介する蚊への調査の強化が必要とされます。流行中、殺虫剤の室内での空間散布は、幼虫を殺す対策とともに、飛んでいる蚊(の成虫)を殺すために使用することができます。

チクングニア熱について
 チクングニア熱は、ウイルスを保った蚊から人に感染するウイルス性疾患です。発熱と重度の関節痛を引き起こします。この他にも、筋肉痛、頭痛、悪心、疲労感、発疹などを引き起こします。関節痛はしばしば人々を消耗させ、その期間もさまざまです。そのため、このウイルスは、急性、亜急性、慢性に病態を引き起こす可能性があります。この病気に対する(直接の)治療法はなく、治療は症状を和らげることに焦点が当てられます。人の居住地に近い場所での蚊の繁殖は、チクングニア熱の重大な危険因子となります。

出典

WHO. Disease outbreak news, Emergencies preparedness, response. 29 September 2017
Chikungunya -Italy
http://www.who.int/csr/don/29-september-2017-chikungunya-italy/en/