2018年02月02日更新 麻しん排除への東南アジア6か国会議

WHO東南アジア地域事務局から2018年1月31日に公表された記事によりますと、麻しんへの免疫のギャップを縮め、麻しん排除への取り組みを加速させるために、会議が開かれました。

記事の概要

WHOが所轄する東南アジア地域の子どもたち約480万人が、毎年、麻しんワクチンの接種を受けられずにいます。そのため、この地域の主要6か国は、2020年までに麻しんを排除し風しんを制御下に置くための取り組みを加速させるために予防接種の課題と(これまでに得られた)経験を共有することにしました。

風しんや先天性風疹症候群を制御下に置ければ、妊娠女性と彼女らと暮らしている乳幼児の健康を促進させられます。また、麻しんを排除できれば50万人の死亡を回避することができます。」とWHO東南アジア地域事務局長Poonam Khetrapal Singh博士は述べました。

この地域の2か国(ブータンとモルディブ)では、(既に)2017年に麻しんが排除されました。また、他の国々でも大規模な予防接種が実施されています。

この地域の約5億人の子どもたちには、今後2年間に、定期予防接種や補完する予防接種キャンペーンで、麻しんと風しんを含むワクチンの接種が実施されることになっています。最近のさまざまな成果やイニシアチブ(先行する活動)から得られた課題や経験を共有できれば、麻しん、風しん、CRSに対する免疫のギャップを解消するために、加盟国が取り組む個々の問題にも役立つだろうと、彼女は述べています。

近年、WHOが所轄する東南アジア地域は、ワクチンで予防可能な病気に対して、これまでにない進展を遂げています。この地域では、公衆衛生上の問題として、2014年にポリオが終息し、2016年には母親と新生児の破傷風が排除されました。

昨年、インドとインドネシアでは、それぞれ7,000万人と3,500万人の子どもたちを対象に、(未接種を)補完する麻しん予防接種キャンペーンが行われました。両国では、定期予防接種の体制がさらに強化されました。バングラデシュでは、予防接種の対象範囲を広げるためのボランティア・ネットワークの支援の下、都市部での予防接種戦略が実施されました。ミャンマーでは、日本脳炎に対して、約1,400万人の子どもたちの保護が行われました。ネパールでは、予防接種が完全実施された村や地区を認定し、祝うための報奨金制度への道が切り開かれました。タイは、独自の「取り組みのためのデータ」モデルによって、影響力のある調査活動が可能であることを世界に実例で証明してみせました。

さらなる取り組みへの加速と重点化が必要とされます。この地域では、毎年、約3,800万人の子どもたちが生まれています。このうち、約87%が麻しんを含むワクチンの初回接種を受けています。これは、過去数年間で目覚ましい改善ではありますが、それでも毎年約480万人の子どもたちが最低限必要な麻しんの予防接種の機会を奪われていることを意味しています。

(ワクチンを)接種できていない子どもの大半が主要6か国で占められる中で、バングラデシュ、インド、インドネシア、ミャンマー、ネパール、タイ、これら主要6か国の予防接種プログラム運営関係者は、WHO、UNICEF、GAVI(ワクチンと予防接種のための世界同盟)、ビル&メリンダゲイツ財団)、CDC(米国疾病対策センター)などの支援組織とともに、この地域で麻しんを排除し風疹/CRSを制御下に置くための予防接種への取り組みから得られた課題、経験、教訓を精査しています。

「この力強さと積極性が込められた交流は、南南協力及び三角協力の軸となります。」と、Khetrapal Singh博士は述べました。彼女は、彼女の主力プログラムの1つとして、麻しんの排除と風疹/CRSの制御を発表し、在任期間中の2014年に、これを開始させました。

これ以降、東南アジア地域のすべての加盟国で、幼児に麻しんを含む2回のワクチン投与の予防接種プログラムが導入されました。このうち5か国では2回投与の接種率95%が達成されています。

麻しんの排除と風疹/CRSの制御への戦略には、定期予防接種および/または補完的な予防接種への取り組みを通じて、各行政地区での2回の麻しんと風しんのワクチン接種率を95%以上に保ち、信頼性のある麻しん検査施設のネットワークによって支えられる麻しんに感度の高い調査体制を構築し、維持することが含まれています。

麻しんを排除し、風しんを制御することは、接種の実施が困難な地域や遠隔の地域、支援が届かず顧みられていない地域、辺境にある地域などで暮らす全ての人々にワクチンの恩恵を届けることになります。そして、これは、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC;社会の構成員全員に特定の福利厚生パッケージを提供することで、医療費リスクから保護し、医療の利用環境を改善し、保健状態の向上を目指すこと社会、貧困層や放置された人々、あるいは疎外された人々を含むあらゆる国の人々にワクチンの利益を拡大すること)の進展につながります。

出典

SEARO/WHO.Media centre. 31 January 2018
'Big 6' countries of WHO South-East Asia Region meet to close measles' immunity gap, accelerate elimination efforts
http://www.searo.who.int/mediacentre/releases/2018/1679/en/