2018年02月13日更新 感染リスクが高く、備えが必要な感染症-WHO

 WHOは、2018年2月12日に公表された記事の中で、流行しやすく、備えが必要な感染症のうち、2018年に優先的に検討すべき感染症について検討されたことが述べています。

2018年に優先的に検討すべき感染症のリスト

 研究や感染対策などを目的とした計画において、WHOは、公衆衛生上の緊急事態との関連で、研究や感染対策に優先的に取り組むべき感染症や病原体を決める特別な段取りを作成しました。この段取りは、流行の可能性があるものの、対策が不十分または全く行われておらず、公衆衛生上のリスクを抱えている病気(感染症)を確認することを目指しています。この過程を通じて確認された感染症が、研究や感染対策に取り組むべき青写真の鍵となります。これは、全体を網羅するものでも、次に流行が起こる可能性が最も高い原因を示すものでもありません。

 優先的に取り組むべき初めてのリストは、2015年に公表されました。

 2018年2月6日と7日には、第2回目の年次検討会が行われました。専門家らは、公衆衛生上の緊急事態を引き起こす可能性があり、有効な薬物および/またはワクチンが存在しないことを考慮し、次の感染症に研究・開発を加速させる必要があるとしてまとめました。
・クリミア・コンゴ出血熱(CCHF)
・エボラ出血熱およびマールブルグウイルス病
・ラッサ熱
・中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)および重症急性呼吸器症候群(SARS)
・ニパ・ウイルスとヘニパ・ウイルス感染症
・リフトバレー熱(RVF)
・ジカ・ウイルス感染症
・未知の病気X

 未知の病気Xは、現在のところ人に感染を引き起こすことは知られていないものの、国際的に深刻な流行を引き起こす可能性がある病原体の存在への認識を示しています。そのため、優先的に取り組むべき計画には、広く横断的に、可能な限り未知の病気Xに関係する研究や感染対策にも備える計画を目指すべきと明示しています。

 追加を検討すべきたくさんの感染症について議論され、優先リストへの組み入れが検討されました。その中には、ラッサ熱以外のアレナ・ウイルス出血熱、チクングニア熱、MERSおよびSARS以外の高病原性コロナウイルス感染症、ポリオ以外で緊急性のあるエンテロウイルス(EV71、D68など)、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)などの重症発熱性疾患などがありました。

 これらの感染症は、公衆衛生上の大きなリスクをもたらすことから、調査活動や診断を含めたさらなる研究開発が必要とされています。これらは注意深く監視され、次年度の検討会で再度・議論されることになります。これらを把握し、(感染を)抑制することに暫定的に取り組むことが促されています。

 この会議で検討された病気のリストには含まれていなかったもののが、サル痘とレプトスピラ症については議論され、専門家らはこれらに公衆衛生上のリスクがあることを強く主張しました。そして、潜在的に利用可能な対応策への早急な評価、より包括的な調査活動と診断方法の確立、研究・開発と公衆衛生上の取り組みの促進が必要であるとの意見で一致しました。

 デング熱、黄熱、HIV/AIDS、結核、マラリア、人に重篤な病態を引き起こすインフルエンザ、天然痘、コレラ、リーシュマニア症、ウエストナイル・ウイルス、ペストなど、いくつかの感染症は、現在の計画では枠の外に置かれるものと判断されました。これらの感染症も、引き続き、重大な公衆衛生上の問題を引き起こす能力をもち、既存の主要な疾病対策の主導や、研究・開発の道筋の進展、既存の資金調達の流れ、介入の向上に向けて構築された既存の流れなど通じて、さらなる研究・開発が必要とされます。特に、専門家らは、肺ペストに対して向上した診断技術とワクチンの必要性、並びにリーシュマニア症に対してより効果的な治療のためのさらなる支援の必要性を確認しました。

 また、専門家は、次のことについて検討しました。
・議論されたこれら多くの感染症、並びに公衆衛生上の緊急事態を引き起こす可能性のあるその他の多くの病気において、より適正な診断が必要とされること。
・優先順位リストには含まれていないものの検討されるべき感染症いくつかに対して、既存の薬物およびワクチンには、さらなる改善が必要であること。
・ウイルスだけでなく、この計画には、あらゆる種類の病原体に優先順位を付ける必要があること。
・必要となる研究には、疫学研究、昆虫学研究、学際的な研究など、あるいは詳細な感染経路の解明、社会科学的な研究など、土台となる基礎的な研究や特性に合わせた研究などが含まれること。
・可能であれば、複数の疾患や病原体の(上位の)科や属に向けた取り組みを進めることの価値を評価する必要があること。

 公衆衛生上の緊急事態を引き起こす可能性のある病気において、環境問題の影響が議論されました。これは、将来、課題のひとつとして検討される必要があるかもしれません。

 難民、国内避難民、災害避難民などの特殊な集団について、議論された病気の重要性が議論されました。

 平行して、動物の健康維持を優先的に位置づけるプロセスである"One health"アプローチ(動物、自然の調和など、さまざまな分野からの 学際的かつ包括的に行うアプローチ)の価値が強く主張されました。このような取り組みで、(動物からの)感染伝播を最小限に抑え、食品の安全確保を強化した人獣由来の感染症への予防と管理に向けた研究・開発を支援されることになるでしょう。公衆衛生上の緊急事態を防ぐための動物へのワクチン接種の潜在的な有益性についても議論されました。

 また、抗菌への耐性に対して、特別に国際的に率先した取り組みを行うことが必要であることでも一致しました。将来、薬剤耐性の病原体が出現し、置かれるべき優先順位がつけられる可能性があることは排除されませんでした。

出典

WHO. Latest news, Programmes. 12 February 2018
List of Blueprint priority diseases
http://www.who.int/blueprint/priority-diseases/en/