アフリカ睡眠病(アフリカトリパノソーマ症)

流行地

アフリカ睡眠病は寄生性の原虫による疾患で、ガンビア型(流行地はおもに中央アフリカおよび西アフリカの一部)と、ローデシア型(流行地はおもに東アフリカ)があり基本的に流行地が重なることはありません(ウガンダではどちらの型もみられます)。

感染経路

ツェツェバエに吸血されることにより感染します。このハエはアフリカにしかみられず、大きさは5~10mm程度、吸血によってのみ栄養を取ります。ガンビア型を媒介するハエは川や流れのそばに、ローデシア型を媒介するハエはサバンナなどに生息していて、暖かい日中にヒトを吸血します。

潜伏期

急性期症状出現までの潜伏期間は1~3週間と考えられていますが、ガンビア型では数ヶ月~数年間も無症状のことがあります。

症状

急性期症状として、間欠熱、悪寒、頭痛、筋肉痛などで発症し、刺咬部に丘疹がみられることもあります。後頚部のリンパ節腫脹(ウィンターボトム徴候)も特徴的です。慢性期にはどちらの型も中枢神経症状(日中の傾眠、過食、頭痛、末期の昏睡)がみられますが、ローデシア型のほうが急激な経過をたどり、無治療の場合1~3ヶ月で死亡します。ガンビア型も無治療の場合、数年後には死亡します)。

治療法

専門家による治療が必要です。使用されている薬剤の多くは毒性があり、安全な治療薬の開発が急務になっています。

予防等

流行地域への渡航をさけること、ツェツェバエに刺されないようにすることです。とくに、動物保護地区を訪問する際には、手首および足首まである中間色の(景色に溶け込み、目立たない)厚手の衣料の着用し、DEETを含んだ防虫剤を塗布しましょう。ワクチンはありません。