クリプトスポリジウム

流行地

原虫による感染症で、世界中でみられる病気です。衛生設備・下水設備が整っていない地域での食事や飲水、水泳などをした人は、感染のリスクが高くなります。

感染経路

病原体は原虫のC. parvumやC. hominisで、ヒトや動物の腸管に寄生しており、その糞便に汚染された食物または水を摂取することで感染します。汚染された湖などで泳いでいる間に水を飲み込むことでも感染します。

潜伏期

通常3~10日で、大多数の患者は9日以内に発症しています。

症状

様々な消化器系の症状を引き起こし、ジアルジア症と似ています。健康な人の場合は下痢(主に非血性水様便、)、腹痛、倦怠感、食欲低下、吐き気などで、軽度の発熱を伴う場合もあります。下痢は1日数回程度から20回以上の激しいものまでさまざまです。免疫機能が低下している人は、重症・難治性・再発性・致死性下痢症になることがあるので注意が必要です。

治療法

症状は通常、数日から2~3週間で自然に治まります。下痢に対しては、十分に水分を補給して脱水の予防をしましょう。免疫機能が低下している人の場合は、重症化することがありますので、医療機関の受診をお勧めします。

予防等

ワクチンや予防薬はありません。感染を防ぐためには、食物や水に注意を払わなければいけません。頻繁に手洗いをすることも大切です。水泳の際は水を飲み込まないようにしましょう。また糞便への接触は避けましょう。クリプトスポリジウムは通常の浄水処理で完全に除去することは困難です。ジアルジア症と同じく塩素消毒は効果がありませんが、煮沸されていれば安心です。