クリミア・コンゴ出血熱
病原体
クリミア・コンゴ出血熱ウイルス(ブニヤウイルス科ナイロウイルス属)です。
流行地
1944年~1945年にクリミア地方で野外作業中の旧ソ連軍兵士のあいだで急性熱性疾患が発生したのがはじまりで、1956年ベルギー領コンゴ(現在のコンゴ民主共和国)でも同じウイルスが分離されたのが命名のいきさつです。これまでにアフリカ、アジア、中東、東欧の広範囲で患者発生が確認されています。
感染経路
ヒツジ、ヤギ、ウシなど家畜、ウサギ、トリなど小動物および野生動物とマダニとの間の感染サイクルがあり、以下の感染経路があげられます。
(1)感染マダニに咬まれたりマダニをつぶすことによって感染する経路。
(2)感染した家畜や野生動物の血液や内臓と接触することによって感染する経路(羊飼いや農業従事者、獣医師など。
(3)患者に接する医師や看護師など医療従事者、患者の家族など密に濃厚な接触して感染する経路。
潜伏期
2~9日です。
症状
突発的に発症し、発熱、頭痛、筋肉痛、関節痛がみられ、重症になると出血傾向や肝腎不全(消化器出血など)をきたします。致命率は15~40%程度と推測されています。
治療法
特異的治療法はなく、対症療法が中心となります。抗ウイルス薬(リバビリン)が有効であると考えられています。
予防等
ワクチンはありません。感染経路を遮断することが大切で、感染のリスクがある場合はガウン、手袋、マスク等の着用が必要となります。