航空性中耳炎

原因

中耳(鼓膜の内側)には少量の空気が入っており、耳管と呼ばれる管で咽頭部とつながっています。この耳管は通常閉じていますが、開閉し空気が通ることにより外部の気圧と中耳の気圧を一定に保っています。航空機では、離着陸時の急激な気圧の変化が起こるため、耳管が閉じたままになり、鼓膜の内側と外側で圧力の差が生じて耳が痛くなることがあります。

症状

軽症の場合、耳が詰まるような感じや軽い痛みが出ますが、数分から数時間で治ります。しかし、風邪をひいていたり、アレルギー性鼻炎があると重症になり、針で刺されるような激しい痛みや”ゴー”という低い耳鳴りが現れます。この場合には、適切な治療や処置を行わなければ、数時間から数日間症状が続きます。さらに重症になると鼓膜の内側に血液が混じった液体が溜まり、痛みも激しいものになります。

治療法

軽症の場合は、水を飲む、アメなどをなめる、またはあくびをすることで症状が改善されます。これで改善されない場合や、やや重症の場合にはスキューバダイビングで用いられる「耳抜き」(バルサルバ法)を試みてください。ただし、あまり強くやると鼓膜を傷つけることになりますので、注意が必要です。
耳抜きの方法:最初に鼻をかみ(この時、偶然治ることもあります)、次に鼻をつまんで空気を吸い込み、口を閉じて吸い込んだ息を耳へ送り込みます。これを耳が抜ける感じがするまで数回繰返します。(あまり強くやると鼓膜に傷をつけ、逆効果となりますので注意して下さい。)効果のない場合、血管収縮剤を含んだ点鼻薬(日本の航空会社では、機内に常備されていることがあります。)を噴霧し、10分ほどしてから繰り返します。
どの方法も効果がなく、耳の痛みが緩和されない場合は、速やかに耳鼻科を受診してください。

予防等

あらかじめアメをなめたり、ガムを噛むことで航空性中耳炎になりにくいと言われています。また、眠っていると唾の飲み込みなどの運動が極端に少なくなるので、気圧の変化が大きい降下時には、目を覚ましていることが航空性中耳炎の予防になります。

2014年4月 更新