コレラ

流行地

コレラは世界に広く分布する細菌性の感染症です。数多くのコレラ菌のうち、コレラ毒素を産生するO1血清型とO139血清型のコレラ菌が、ヒトに感染することが知られています。O1血清型はさらに古典型とエルトール型に分類されます。エルトール型に感染した場合、多くは無症状か、あるいは軽微な症状で治癒します。
 WHOの推計によりますと、年間300-500万人がコレラに感染し、うち10-12万人が死亡しています。ハイチでは2010年10月以降、コレラ流行が続いており、流行の始まりから2013年3月までに報告されたコレラ患者は合計65万人以上にも達し、そのうち8,000人以上が死亡しています。また、隣国のドミニカ共和国でも、2010年11月以降、コレラの流行が続いています。
日本におけるコレラ患者は海外からの輸入症例が大部分を占めますが、輸入食品からの感染と考えられる国内発症事例も散見されます。

感染経路

汚染された飲食物の摂取により感染します。コレラ菌は胃酸により死滅するので、暴飲暴食、胃切除後、制酸剤服用、高齢などが危険因子とされます。

潜伏期

数時間から5日ですが、通常1~3日です。

症状

典型的症例では大量の水様便(米のとぎ汁様)とおう吐がみられますが、元来健康な人の場合、軽い下痢のみのことが多く、無症状のこともあります。高熱や激しい腹痛を伴うことはまれです。

治療法

失われた水分やナトリウムなどの電解質の補給が中心です。それらがバランスよく配合された経口補水液(ORS)の摂取が効果的です。

予防等

下水道設備が不十分な地域での滞在には、手洗いの励行や飲食物に対する注意が必要です。なおWHOは経口コレラワクチンの接種を推奨していますが、日本では未認可です。接種を希望する場合には、輸入ワクチンの取扱いがある医療機関でご相談下さい。

2014年1月更新