重症急性呼吸器症候群(SARS)

流行地

SARSコロナウイルスによる全身性の感染症で、2002年11月16日に、中国南部の広東省で非定型性肺炎の患者が報告されたのに端を発し、北半球のインド以東のアジアやカナダを中心に感染拡大、2003年3月12日にWHOから「グローバルアラート」が出され、同年7月5日に終息宣言が出されるまで、32の地域と国にわたり8,000人を超える症例が報告されました。

感染経路

感染経路は、飛沫および接触(糞口)感染が主体となりますが、空気感染の可能性も否定できません。
コウモリをはじめ、ハクビシンやタヌキ、ネズミなどの動物が媒介する可能性も指摘されておりますが、確定的な結論はまだ出ていません。
ヒトで感染源となりうるのは有症者だけで、潜伏期間にある発症前の患者が感染源になった症例は確認されていません。

潜伏期

2~7日間のことがほとんどで、最長10日間です。

症状

発病第1週に発熱、悪寒震え、筋肉痛など、突然のインフルエンザ様症状で発症します。発病第2週には非定型肺炎へ進行し、乾性咳嗽、呼吸困難や水様性下痢を発症します。この時期が感染性のピークとなります。
約20%の症例で呼吸不全となり、集中治療が必要になります。

治療法

有効性が確実とされる治療法はいまだ確立されていません。
対症療法が中心となります。

予防等

患者の早期発見と隔離以外には有効な予防措置はありません。一般的な予防法として手洗い、うがい、マスク着用、体力や免疫力の増強をはかる、人混みへの外出を控えるなどがあげられます。