腎症候性出血熱
流行地
野ネズミが媒介するハンタウイルスによる出血性腎疾患で、極東ロシアから中国や韓国をはじめとしてアジアからヨーロッパにいたる広大な地域に分布しており、全世界では十数万人程度の患者発生があると推計されています。
わが国でも過去に大阪梅田での流行や、実験動物用ラットが感染源となり大学や研究機関で流行をきたしましたが、近年では発生の報告はみられません。港湾地域でのネズミ族にハンタウイルスへの抗体陽性例が確認されています。
感染経路
感染源はウイルス保有の野ネズミで、排泄物などにウイルスが含まれており、ウイルスに汚染された糞尿や土壌がエアロゾルとして吸入される、あるいは野ネズミによる咬傷などでも感染成立しますが、ヒト-ヒト感染はあり ません。
潜伏期
10~20日です。
症状
軽症例では、微熱や上気道炎症状、血尿、蛋白尿などきたしますが、重症例では発熱や低血圧、ショック症状、腎不全となります。
治療法
特異的な治療法はなく、ショック症状や急性腎不全の管理や人工透析など、対症療法が中心となります。
予防等
ウイルスの自然宿主であるげっ歯類との接触を絶つことが基本で、屋外でのキャンプなどの際には周囲環境のネズミ駆除をおこなう、しばらく使われていない小屋などはネズミ糞尿による汚染の危険性が高いと認識する、食品の保管にはネズミがかじらないよう蓋をしておくなどこころがけてください。
外国で一部に使用されているものを除いてワクチンは存在しません。