チクングニア熱

流行地

チクングニア熱はウイルス性の熱性・発疹性疾患です。チクングニアとはアフリカの現地語で、罹患した関節痛を表現する「かがんで歩く」という言葉に由来しています。アフリカ、南アジア、東南アジア地域など広い範囲で発生しています。2005-06年にはレユニオン島で大流行し、死者も報告されました。2007年にはイタリアで輸入感染例に端を発し国内流行が見られ、2010年には南フランスでも国内発生例が報告されています。日本国内での発生は現在のところありませんが、輸入感染例として過去に38例の報告があり、2013年1月に39例目として関西空港検疫所でも初めて1例確認されました。

感染経路

病原体はチクングニアウイルスです。ウイルスに感染した蚊(ネッタイシマカやヒトスジシマカなど)に刺されることにより感染します。直接的なヒトーヒト感染はありません。

潜伏期

潜伏期間は2~12日と考えられていますが、通常3~7日です。

症状

主な症状は発熱、関節痛、発疹で、発熱と関節痛は必発であり、発疹も8割程度に認められます。その他、頭痛、全身倦怠感、おう気・おう吐、筋肉痛、リンパ節腫脹などもみられます。典型的な急性症状は数日から2週間程度続きます。さらに、日常生活に支障をきたすような関節痛や関節炎が、数週間から数年間残る場合もあり、重症例では神経症状(脳炎)や劇症肝炎が報告されています。

治療法

ワクチンや抗ウイルス薬による治療法はありません。治療は症状を和らげる対症療法が中心となります。

予防等

蚊に刺されないようにしましょう。具体的には、長袖・長ズボンを着用し、肌が露出した部分にはDEETを含む防虫剤を用いるなどです。チクングニア熱を媒介するヒトスジシマカは国内にも生息しています。感染拡大予防の観点から、感染が疑われた場合には、発熱後10日間は蚊に刺されないよう注意してください。

2013年1月 更新