中東呼吸器症候群(MERS)

流行地

新しい種類のコロナウイルス(中東呼吸器症候群[MERS]コロナウイルス)による感染症で、2012年9月にサウジアラビアで初めて患者が報告されて以降、サウジアラビア、ヨルダン、アラブ首長国連邦、カタールを含む中東諸国や、フランス、ドイツ、イタリア、英国などの欧州やチュニジアから患者が断続的に報告されています。なお、2003年に中国で患者発生がみられたSARSコロナウイルスとは異なるウイルスによる感染症です。
なお、最新の情報は海外感染症情報をご覧下さい。

   https://www.forth.go.jp/keneki/kanku/info/info2015.html

感染経路

感染経路は、今のところ明らかにはなっていません。動物が起源と考えられていますが、動物への接触歴がない患者も発生しています。ヨーロッパやチュニジアで報告された患者はすべて、中東と何らかの関連(直接か間接かを問わず)がありました。しかし、フランス、イタリア、チュニジア、英国では、中東への渡航歴はないものの、最近中東へ渡航したことのある患者と密に接する機会があった人々の間で、限局的な感染が起きています。また、サウジアラビア、フランスでは院内感染による患者も確認されています。

潜伏期

2~14日と言われています。

症状

中東呼吸器症候群の患者に共通している症状は、急性の重篤な呼吸器症状で、発熱、せき、息切れや呼吸困難を伴います。ほとんどの患者が肺炎を起こします。また、多くの患者が下痢などの消化器症状を伴います。一部の患者は腎不全をきたしました。また、患者の約半数が死亡しています。

治療法

有効性が確実とされる治療法はいまだ確立されていません。対症療法が中心となります。

予防等

現在のところ、ウイルスの感染源も感染経路も不明です。しかし、呼吸器感染を予防するため、咳エチケットや手指衛生を心掛けましょう。また、中東諸国から帰国後14日以内に発熱や咳・呼吸困難感などの症状が出現した場合はすみやかに医師に相談しましょう。

2015年7月更新