日本脳炎

流行地

日本脳炎ウイルスによる感染症で、東南アジア、南アジアにひろく分布しており、パプアニューギニアやオーストラリア北部にも発生しています。
わが国では北海道を除き、西日本を中心に広範囲な分布がみられ、毎年数例の報告があります。
温帯地域では夏季に流行が限定されますが、熱帯地域では雨季に流行がみられます。

感染経路

ウイルスは主にコガタアカイエカにより媒介されます。ブタの体内でウイルスが増幅され、ウイルス保有蚊の刺咬によりヒトに感染します。
ヒトへの感染は症状を示さない不顕性感染におわることがほとんどですが、幼小児や高齢者では発症する確率が高くなります。

潜伏期

7日~15日です。

症状

突然の発熱で発症し、高熱をきたすこともあります。頭痛、おう吐、おう気などに続き、意識障害や精神症状など脳炎症状がみられることもあります。
高熱をきたした方や高齢者および幼小児の感染例では重篤化しやすく、回復後にも後遺症を認める傾向にあります。

治療法

特異的な治療法はなく、対症療法が中心となります。

予防等

蚊の刺咬を防ぐ服装面の工夫や、虫除けスプレーなどによる防蚊対策が必要です。
ワクチンは有効ですが、副反応の問題等により、平成17年5月30日厚生労働省は、市町村による予防接種の「推奨」を差し控えるよう勧告していましたが平成22年4月1日より、新ワクチンによる定期予防接種が積極的勧奨に変更となりました。感染の恐れが高いとされる地域への渡航(とくに長期滞在)の際には、基礎免疫が完了している場合でも追加接種をお勧めしています。