マールブルグ病

病原体

マールブルグウイルス(フィロウイルス科)です。

流行地

967年旧西ドイツ・マールブルグで、ワクチン製造のためにウガンダから輸入されたアフリカミドリザルの腎臓を使った際に、研究員などの間に原因不明の熱性疾患が流行したのがはじまりで、フランクフルトや旧ユーゴスラビアでも同様の事例がみられました。
最初の流行以後、ケニアとジンバブエで散発的な発生が確認されただけでしたが、1998年~1999年にかけコンゴ民主共和国(旧ザイール)で感染者が100名を超える大流行をみました。また最近では、2005年にアンゴラで感染者が300名を超える大流行がみられ、80%以上が死亡しています。輸入例も含め、わが国での発生はありません。

感染経路

コウモリやラットなどの媒介動物が指摘されてはいますが、自然界からヒトへの感染経路は依然不明です。感染源になるのは、患者の血液、体液、排泄物、唾液などで、これらとの直接接触および医療機関や家族内での濃厚接触が感染経路で、空気感染はありません。

潜伏期

3~10日です。

症状

突発的に発症し、発熱、悪寒、頭痛、筋肉痛に続き発疹がみられます。その後、症状は悪化し、黄疸、全身衰弱、精神錯乱、出血、多臓器不全をきたします。

治療法

特異的な治療法はなく、対症療法が中心となります。

予防等

現地では、コウモリやラットなど野生動物などとの接触は避けましょう。
患者の血液、体液、分泌物にウイルスが含まれていますので、医師や看護師など医療従事者は、ガウン、マスク、手袋、ゴーグル、長靴着用などによる接触感染防止策を講ずる必要があります。ワクチンはありません。