マラリア

流行地

マラリアは世界100か国以上でみられる感染症で、WHOの推計では毎年3~5億人が感染、数百万人が死亡しているとされます。主な流行地はサハラ以南アフリカ、東南・南アジア、中南米、パプアニューギニア、ソロモン諸島など熱帯・亜熱帯地域です。近年では、毎年50例前後の輸入症例が報告されています。

感染経路

マラリア原虫保有雌ハマダラカによる吸血時に原虫が体内に侵入し、感染が成立します。原虫の種類により三日熱、四日熱、卵形、熱帯熱に分類されます。国内にも三日熱マラリアを媒介するシナハマダラカは広く生息しています。重症型の熱帯熱マラリアを媒介するコガタハマダラカは沖縄の宮古・八重山諸島にのみ生息していますが、今後温暖化が進行すれば沖縄本島から九州南部へと生息地域が拡がる可能性もあります。また、近年、サルマラリア原虫の1種であるP. knowlesiのヒトへの自然感染例が東南アジアの広い範囲で確認され、第5のヒトマラリアと考えられるようになってきました。

潜伏期

通常、三日熱と卵形は14日前後、四日熱は30日前後、熱帯熱は7~21日です。三日熱や卵形では数か月以上を経て再発する例もみられます。

症状

潜伏期間を経て頭痛、発熱、悪寒と震えをきたし、発汗と共に解熱します。この発熱発作には周期性があり、三日熱と卵形は48時間、四日熱は72時間、P. knowlesiによるマラリアでは24時間の周期で発熱が認められます。熱帯熱には明らかな周期性はみられず、高熱が持続します。また、診断や治療が遅れると意識障害や多臓器不全により致死的となることもあることから、迅速な診断と治療が必要です。

治療法

どの型のマラリアも速やかな診断・治療が重要です、特に熱帯熱マラリアでは、治療開始が遅れれば極めて致命的です。

予防等

DEETを含有する虫よけや蚊帳、蚊取り線香等を使う、長袖・長ズボンを着て露出部を減らす、夜間外出を控えるなどの防蚊対策が基本ですが、マラリア流行地域での滞在が2週間以上となる場合や、短期間でも郊外に滞在するなど感染リスクが高くなる場合には、予防薬の内服も考慮してください。抗マラリア薬であるマラロン®は渡航1~2日前からの内服で予防可能であり、本邦でも2012年12月に承認されています。

相談機関と予防薬

→マラリアの治療に関する相談場所

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2014年1月更新