リッサウイルス感染症

流行地

狂犬病ウイルスを除くリッサウイルス属による感染症で、主にヨーロッパ、オーストラリア、アフリカに分布しています。

感染経路

食虫コウモリや食果実コウモリなど野生コウモリの唾液中などにウイルスが含まれており、咬傷や引っかき傷および傷口を舐められるなどの行為により、感染が成立します。
洞窟に棲息するコウモリの排泄物からの空気感染も指摘されていますが、明らかではありません。
臨床診断では海外渡航歴と、感染源となる動物との接触のエピソードが診断への手がかりとなります。

潜伏期

20~90日間です。

症状

臨床症状から狂犬病と鑑別するのは困難です。
頭痛、発熱、倦怠感、創傷部位の知覚過敏や疼痛をきたす場合や、興奮、恐水症状、精神錯乱などの中枢神経症状をきたす場合もあり、一般に病態は急性かつ進行性で、けいれんや攻撃的な神経症状をきたし、最終的に筋力の脱力から呼吸困難をきたし、発症後1ヶ月前後に死亡する場合が多いです。

治療法

発症後に回復した症例も報告されてはいますが、一般に予後不良で有効な治療法はありません。

予防等

基本的に狂犬病に準じますが、特に野生コウモリとの接触はできるだけ避けてください。現在、わが国では、コウモリの輸入は禁止されています。
コウモリやウイルスを取り扱う研究者、野生動物との接触が予想される場合などは、予防のために事前の狂犬病ワクチン接種が有効となる場合もあります。