ロングフライト血栓症

概要

飛行中の機内では乾燥した環境のため、長時間のフライトでは体の水分が失われ血液が濃縮、かたまりやすい状態にあります。さらに、狭い座席に同じ姿勢でずっと座りつづけていることで、下肢が圧迫され静脈血の心臓への巡りが悪くなり、血のかたまり(血栓)ができやすくなります。
およそ6時間をこえる長時間のフライトを経験したときに、このような状態になる傾向があります。
そして着陸後、立ち上がった際に血栓が血管壁からはがれてしまいます。重症例では、このはがれた血栓が心臓を経て肺動脈につまり(肺塞栓症)ショック状態となり、死に至ることもあります。
この疾患は機内のみにとどまらず、長時間すわったままでの列車や車での移動、また病院でのベッド臥床などでも発症します。
血栓は両下肢同時におこることはまれで、左下肢に発生することが多いです。
下肢に静脈瘤のある方、下肢の手術をされた方、血液の凝固能に異状ある方、経口避妊薬を服用されている方、妊娠中や出産後の方などは特に注意してください。

予防等

  1. 機内では2~3時間ごとに歩く、あるいは下肢の屈伸運動などをしましょう。
  2. 着席中でも足の趾を動かす、つまさき立ちのような運動をする、ふくらはぎを軽くもむなど下肢に血液がとどこおらないようにしましょう。
  3. ミネラルウオーターやお茶など充分に水分を摂ってください。コーヒーやアルコール類は利尿作用があり逆効果となるので注意してください。
  4. 睡眠薬を服用しての熟睡は危険です。
  5. 窓側席に座るより、通路側に座るほうが席を離れるなど移動しやすくなります。