ライム病

病原体

スピロヘータ科ボレリア属の細菌であるライム病ボレリアです。

流行地

欧米では現在でも年間数万人のライム病患者が発生し、報告数も年々増加しています。日本では、1986年に初のライム病患者が報告されて以来、現在までに数百人の患者が、主に本州中部以北(特に北海道および長野県)で発生しています。

感染経路

病原体を有した野ネズミ・鳥を吸血することで病原体を獲得したマダニが、ヒトを刺すことにより感染します。

潜伏期

マダニに刺されてから数日~数週間で発病します。

症状

「感染初期」には‘遊走性紅斑’と呼ばれる特徴的な的(まと)状の皮疹(マダニに刺された部位の赤い斑点あるいは丘疹から周辺に紅斑が拡大する)が現れることが多く、他に筋肉痛、関節痛、頭痛、発熱、悪寒、倦怠感などのインフルエンザ様症状が現れることがあります。約4週間後の「播種期」には病原体が全身に拡がり、皮膚症状、神経症状、不整脈、眼症状、関節炎、筋肉炎など多彩な症状が現れます。そのため、症状だけからの確定診断は困難です。感染から数ヶ月~数年を経た「慢性期」には、慢性萎縮性肢端皮膚炎、慢性関節炎、慢性脳脊髄炎などが出現します。

治療法

抗菌薬による治療が有効です。

予防等

野山でマダニに刺されないことが重要です。マダニの活動期(主に春から初夏、および秋)に野山へ出かけるときには、1)むやみに藪などに入らない、2)マダニの衣服への付着が目立つよう白っぽい服装をする、3)衣服の裾は靴下の中にいれる、4)虫よけを使う、などを心がけましょう。
また、万一刺された場合には、自分でマダニを引き剥がさず、医療機関で切除してもらいましょう。無理に虫体を剥ぎ取ると、病原体が注入されたり、マダニの刺口が皮膚の中に残り、感染を増長する場合があります。

2014年1月更新