A型肝炎
流行地
A型肝炎ウイルスによる急性肝炎で、ウイルスは世界中に幅広く分布しています。とくに、上下水道設備の不十分な地域や衛生環境の劣悪な地域で多く発生がしています。
わが国でも戦後の混乱期など感染する危険性が高い時期もありました。現在では患者数が減少したものの、途上国からの輸入食品も含め海産物などの飲食物からの感染や東南アジアや中国、インドなど海外渡航先での感染が大部分を占め、毎年数百例の患者発生が報告されています
感染経路
糞便により汚染された食物や水を摂取することで感染が成立する糞口感染や魚介類の生食などによる経口感染がほとんどですが、性行為や輸血による血液感染の報告もあります。
潜伏期
15日~50日と幅広いですが、平均して28日程度とされます。
症状
食欲不振、全身倦怠感、腹痛、おう気・おう吐、発熱、下痢、黄疸(眼球の白い部分や全身の皮膚が黄色くなる)が見られます。小児では感染しても症状が軽い場合が多いですが、成人では多くの場合黄疸など症状がみられます。
感染者の約1%は劇症肝炎となり急性腎不全をきたすこともあります。A型肝炎には持続感染はみられず、慢性肝炎への移行もみられません。
治療法
原則として急性期には入院、安静加療を要します。特異的治療はなく、治療法は対症療法が中心です。
予防等
衛生環境の劣悪な地域では、生水や生もの、加熱調理が不十分な食品は避けましょう。東南アジアや南アジアなどの流行地域に1か月以上滞在される方にはワクチン接種(複数回)を推奨します。A型肝炎ワクチンは接種すれば、抗体のつきやすいワクチンです。世界保健機関(WHO)のガイドラインでは1歳以上の小児への接種が推奨されています。
※以前は日本では16歳未満の方は接種できませんでしたが、2013年3月15日付で16歳未満の方も承認され、接種できるようになりました。
2014年4月 更新