B型肝炎

流行地

B型肝炎ウイルス(HBV)による急性肝炎で、ウイルスは世界中に幅広く分布しています。世界でのHBV感染者の分布には大きな地域差があり、東南アジアやアフリカでは感染者が人口の8%を上回る国もあります。日本、ヨーロッパ、北米など感染者が人口の2%以下の国もあります。

感染経路

輸血、注射針の使い回しなどによる不適切な観血的医療行為などによる経皮的感染と、性交渉、分娩時の経粘膜感染によるものがあります。
HBVの持続感染は出生時または乳幼児期の感染によって成立し、成人期初感染では、消耗性疾患、末期癌などの免疫不全状態を除けば、持続感染化することはまれです。
持続感染が成立した場合、大部分は肝機能正常なキャリアとして経過し、その後免疫能が発達するに従い、顕性または不顕性の肝炎を発症します。そのうち85〜90%は B型肝炎ウイルスの活動が抑えられた状態(HBe抗原(-)、HBe抗体(+))となり、最終的に肝機能正常の無症候性キャリアへ移行し、残り10〜15%が慢性肝疾患(慢性肝炎、肝硬変、肝細胞癌) へ移行します。
一過性感染の場合、70〜80%は不顕性感染で終わるものの、残りの20〜30%のケースでは急性肝炎を発症し、このうち約2%が劇症肝炎を発症します。劇症型では致死率は約70%です。

潜伏期

60日~150日、平均して90日です。

症状

初期の症状として倦怠感、疲労感、食欲低下が1週間続いた後、典型的な症状として嘔気嘔吐、腹痛、黄疸(体が黄色くなること)が出現します。場合によっては紅斑、関節痛、関節炎などの症状もあります。

治療法

原則として急性期には入院、安静加療を要します。

予防等

不特定の人との性交渉は避けましょう。コンドームを正しく使用しましょう。途上国では医療器具が汚染されていることがありますので、安心できる医療機関を確認しておきましょう。また、不衛生な場所での皮膚穿孔(耳ピアス、入れ墨や鍼など)を避けましょう。
リスクの高い地域に渡航する場合、特に現地においてけがや、事故などで輸血や手術を受ける事態に遭遇する可能性のある場合はワクチン接種をお勧めします。

2014年4月 更新