Q熱

流行地

Q熱という病名は、「Query fever=不明熱」に由来しており、1935年にオーストラリアで原因不明の熱性疾患として初めて報告されました。のちにリケッチアの一種・コクシエラ菌による感染症であることが明らかになっています。
日本でも毎年数十人の感染者が報告されており、2001年にはオーストラリアでの農場視察から帰国した3名の感染が確認されています。
近年、オランダでのQ熱流行が持続しており、2007年以降、16例の死亡を含む4000例以上の感染が報告されています。

感染経路

感染動物の尿、糞、乳汁などから菌が排泄され、この菌に汚染された空気中の粉塵などを吸うことでヒトに感染します。また、まれに未殺菌の乳製品や生肉を食べることでも感染することがあります。ヒトからヒトへの直接感染はほとんどありませんが、輸血による感染の可能性が危惧されています。

潜伏期

約2~4週間です。

症状

発熱、頭痛、筋肉痛、全身倦怠感、呼吸器症状などインフルエンザ症状と似ており、肺炎や肝炎、まれに皮疹がみられることもあります。Q熱に特異的な症状や所見がないため、他の疾患との鑑別は困難です。
また、急性型の1~2%は心内膜炎を主徴とする慢性型に移行し、慢性疲労症候群の原因とも言われています。

治療法

テトラサイクリン系の抗菌薬が第一選択です。慢性型の完治は困難ですので、急性期に適切な治療を行い、慢性型に移行させないことが重要です。

予防等

流行地域の農場には行かないようにしましょう。もし農場に行くことが避けられない場合でも、動物がいる場所には近づかないようにし、動物との接触は控えてください。
ミルクや乳製品は殺菌されたものに限り、未殺菌の生乳や乳製品は口にしないようにしましょう。また、石鹸を使ってこまめに手を洗うよう心がけてください。 

2014年4月 更新