海外感染症情報 (No.100)
平成22年10月18日
関西空港検疫所
アジア(インド洋地域)でのチクングニヤ熱の流行状況(2)
 2006年以降、アジアおよびインド洋地域においてチクングニヤ熱の流行が報告されています。いくつかの国々はこの疾患に対する監視体制を強化していますが、この地域全体を通しての症例報告は続いています。
  チクングニヤ熱はウイルスによって起こる疾患で、ウイルスを保有した蚊に刺されることでヒトに感染が拡がります。症状としては、突然の発熱、関節痛(関節の腫れを伴うこともある)、悪寒、頭痛、嘔気・嘔吐、腰背部痛、発疹・発赤を伴う皮膚の過敏症状・掻痒感などです。チクングニヤ熱は主にアフリカ・アジア地域で見られます。2007年にはイタリアで限局した流行がありました。
  以下、アジア・インド洋地域での最近のチクングニヤ熱流行状況です。
  マレーシア:2009年、マレーシア保健省は4430例のチクングニヤ熱の報告をしました。死亡例の報告はありませんでした。最も流行活動性が高かった地域は北部サラワク・ケダ州で、次いでクランタン州、セランゴール州、ペラク州となっています。2010年はチクングニヤ熱の流行は減少傾向にあります。828日時点で、主にサラワク州・サバ州から751例の報告があります。
  タイ:2009年、タイでは49069例のチクングニヤ熱の報告がありました。2010年もチクングニヤ熱の流行は続いており、多くは国の南部から報告されています。
  インド:2010831日時点で、インドでは14の州から16870例の疑い例が報告されています。症例のほとんどはカルナタカ州、マハラシュトラ州、タミルナードゥ州、ケーララ州、グジャラート州から報告されています。
  インドネシア:2009年、インドネシアでは43000例以上の報告がありました。
  フランス領レユニオン:限局されたチクングニヤ熱の流行が続いています。201091日時点で、110例の確定例と38例の確実例(未確定)が報告されています。症例のほとんどは西部のサン・ポール地域で確認されています。保健省は島内のチクングニヤ熱の監視体制を強化しています。

渡航者の方へ
  チクングニヤ熱に対する治療法や予防接種は確立されていませんので、蚊に刺されないようにすることが重要です。対策としては、虫除けの使用、長袖・長ズボンの着用などです。
  チクングニヤ熱に罹患した可能性がある場合は、医療機関を受診して下さい。特別な治療法はありませんが、対症療法にて症状を緩和することはできます。また、新たに蚊に刺されることで他者に感染が拡がる恐れもあるので注意が必要です。  

(平成22年10月14日 CDC情報)