海外感染症情報 (NO.113) | |
平成22年11月13日 関西空港検疫所 |
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中央アジアおよびロシア連邦北コーカサス連邦管区におけるポリオ(急性灰白髄炎)流行状況 |
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中央アジアおよびロシア連邦北コーカサス連邦管区で起きているポリオの流行が、さらに拡大し続ける可能性が危惧されています。 中央アジアにおいては、2010年8月12日にカザフスタンの麻痺患児から分離されたポリオウイルスの遺伝子配列は、タジキスタンでのポリオ大流行やそれに続くロシア連邦・トルクメニスタンへの感染拡大を引き起こし、またウズベキスタンへの感染拡大の可能性を持つポリオウイルスの伝播であることが確認されました。ロシア連邦においては、ダゲスタン共和国で9月25日に発症したポリオの追加症例は北コーカサス連邦管区で流行しているウイルスであることが確認されています。タジキスタンでは、11月3日時点でのポリオ野性株1型(WPV1)の報告数は458例ですが、7月4日が最終報告でした。トルクメニスタンでは、WPV1の報告数は3例で、6月28日以降の報告はありません。カザフスタンでは8月12日に発症した7歳男児の1例のみです。各国とも経口ポリオワクチン(OPV)による拡大予防接種キャンペーンが行われました。 ロシア連邦での14例目は9月25日に発症しており、北コーカサス連邦管区では計6例となりました。ロシア連邦での他8例のうち最終の発症例は7月2日ですが、北コーカサス連邦管区でのポリオ流行が続いていることに対して、6ヶ月〜15歳までの小児全てにOPVによる予防接種を11月1日に開始しました。2回目は11月下旬に予定されています。 ウズベキスタンでは、ポリオ発生は確認されていませんが、周辺諸国での流行に対応して、10月25日〜31日にOPVによる4回の予防接種キャンペーンが行われました。 中央アジアやロシア連邦北コーカサス連邦管区の国々は、急性弛緩性麻痺症例の監視体制の強化、WHO認定ポリオ研究機関における全検体の確認作業、OPV接種の実施等を継続する必要があります。 WHOはポリオ流行国への渡航者に対して、OPVによる免疫強化を推奨しています。過去に3回以上のOPV接種歴がある場合は出発前に追加を、過去にワクチン歴がない場合は全て完了させてからの渡航を勧めています。 |
(平成22年11月13日 WHO情報) |