海外感染症情報 (NO.38)
平成22年4月30日
関西空港検疫所
タジキスタンにおけるポリオ(急性灰白髄炎)
流行状況について
 
  2010423日、タジキスタンで急性弛緩性麻痺の患者の血液検体から、1型ポリオウイルスが検出されました。 2002年にポリオ清浄国と公認されていたので、これはWHOヨーロッパ支部管内でのポリオウイルスの最初の輸入例であると考えられます。 2010421日の時点で、タジキスタンから120件の急性弛緩性麻痺の報告があり、政府は大発生についてWHOに通知しました。これまでに10人の子供が死亡しており、その大部分は5歳以下の子供です。事前調査結果では、45%以上の症例で、4倍またはそれ以上の投与量の経口ポリオワクチンを接種していた様です。
  これまでのところ1型ポリオウイルスは7例の検体から同定されています。 全員が国の南西、アフガニスタンとウズベキスタンとの境界領域に住んでいました。 アフガニスタンはポリオがいまだに風土病として残っている4つの国のうちの1つですが、タジキスタンに接しているアフガニスタンの地域では一例も報告されていません。
  タジキスタンとの境界近くのウズベキスタンでも、3件の急性弛緩性麻痺の症例が報告されていますが、ポリオウイルスはまだ検出していません。両国でワクチンキャンペーンが行われる予定です。  WHOは、現在のところ、規制措置として人々の国際的な移動の制限を課すことは推薦していません。
(平成22年4月23日 IHR情報)