海外感染症情報 (NO.48)
平成22年5月19日
関西空港検疫所
タジキスタンにおけるポリオ(急性灰白髄炎)
流行状況について(3)
 

 タジキスタンでのポリオ大流行は現在も続いています。この大流行は、2002年にポリオ清浄国と公認されて以降、WHOヨーロッパ支部管内において初のポリオ輸入例ということになります。
 2010421日時点で、タジキスタン保健省は、ポリオで最もよくある症状である急性弛緩性麻痺症例を120例報告しました。120例中、108例が5歳未満の子供で、そのうち10例の子供が死亡しています。
*タジキスタンのポリオ危険地域

 タジキスタンは、アフガニスタンとは南で、ウズベキスタンとは西で、キルギスタンとは北で、中国とは東で接しています。以下の20の中部・南西地域において報告があります。:Beshkent,Bokhtar,Djilikul,DushanbeCity,Faizabad,Gazimal,Gissar,Kabadien,Khodjamaston, Khovaling, Kofarnokhon, Kolkhozobad, Leninsk-Rudaky, Pandj, Sarband, Shajrinau, Shartuz, Tursunzade, Vakhsh, Varzob.
 ウズベキスタンも数例の急性弛緩性麻痺症例を報告しています。タジキスタンとの国境付近で発生しています。
*ポリオについて
 ポリオは患者の糞便に直接接触することで最もよく感染が拡大する病気です。ポリオウイルスは食べ物や水を介しても感染伝播します。5歳以下の子供が罹患しやすいですが、ワクチン接種をしていない者は何歳であっても感染する危険性があります。四肢・呼吸筋・顔面の麻痺や下痢がポリオに見られる症状です。
*旅行者への注意事項
 タジキスタン・ウズベキスタンへの渡航者はポリオワクチン接種を行いましょう。
・ポリオワクチンを最近接種しているかどうか医師に確認して下さい。
たとえ子供の頃にワクチン接種を行っていたり、過去にポリオに罹患したりしていても、追加接種を受け免疫力を確実にした方がよいです。
子供を伴って旅行する場合もワクチン接種を行っているかどうか確認して下さい。
食べ物・水の安全を確認して下さい。
よく調理された物を食べて下さい。
殺菌された乳製品を食べたり飲んだりして下さい。
安全な水で洗い、自ら剥いた果物や野菜を食べて下さい。
ボトル入りの水・煮沸された水・ボトル入りで密閉された飲み物(炭酸水やスポーツドリンク)を飲んで下さい。水道水や湧き水、氷は避けて下さい。
手指の衛生を行って下さい。
石鹸や水で手をよく洗って下さい。石鹸が使えない場合はアルコールハンドジェルを使用して下さい。
食事前、調理前、浴室を使用した後、オムツを変えた後、咳やくしゃみの後はとくに手を洗って下さい。
(平成22年5月14日CDC情報)