海外感染症情報 (NO.53)
平成22年6月7日
関西空港検疫所

タジキスタンでのポリオ(急性灰白髄炎)の
流行状況について(4)


 タジキスタンでのポリオ大流行は現在も続いています。この大流行は、2002年にポリオ清浄国と公認されて以降、WHOヨーロッパ支部管内において初のポリオ輸入例ということになります。(No.48の続報)  2010521日時点でタジキスタン保健省は、ポリオで最もよく見られる症状である急性弛緩性麻痺症例を432例報告しました。これらの症例のうち、129例がポリオと確定診断されています。ポリオ確定例のうち107例が5歳以下の子供です。12例の死亡例が報告されています。ウズベキスタンでも何例かの急性弛緩性麻痺例が報告されており、これらの症例はタジキスタンとの国境付近で発生しています。



 *ポリオについて
  ポリオは患者の糞便に直接接触することで最もよく感染が拡大する病気です。ポ リオウイルスは食べ物や水を介しても感染伝播します。5歳以下の子供が罹患しやす いですが、ワクチン接種をしていない者は何歳であっても感染する危険性がありま す。四肢・呼吸筋・顔面の麻痺や下痢がポリオに見られる症状です。

 
*旅行者への注意事項

 *タジキスタン・ウズベキスタンへの渡航者はポリオワクチン接種を行いましょう。
  ・ポリオワクチンを乳幼児期に接種しているかどうか確認して下さい。
  ・たとえ子供の頃にワクチン接種を行っていても、追加接種を受け免疫力を確実
   にした方がよいです。

  CDCは以下の国々へ渡航される方に、ポリオの追加接種をお勧めしています。(ア
  ルファベット順)

アフガニスタン、アンゴラ、バングラデシュ、ベニン、ブータン、ブルキナファソ、ブルンジ、カメルーン、中央アフリカ共和国、チャド、コンゴ、コートジボアール、コンゴ民主共和国、ジブチ、赤道ギニア、エリトリア、エチオピア、ガボン、ガンビア、ガーナ、ギニア、ギニアビサウ、インド、ケニア、カザフスタン、キルギスタン、リベリア、マリ、モーリタニア、ナミビア、ネパール、ニジェール、ナイジェリア、パキスタン、ルワンダ、セネガル、シエラレオネ、ソマリア、スーダン、タジキスタン、タンザニア、トーゴ、トルクメニスタン、ウズベキスタン、中国の新疆ウイグル自治区、ウガンダ、ザンビア


 *食べ物・水の安全を確認して下さい。
  ・よく調理された物を食べて下さい。
  ・殺菌された乳製品を食べたり飲んだりして下さい。
  ・安全な水で洗い、自ら剥いた果物や野菜を食べて下さい。
  ・ボトル入りの水・煮沸された水・ボトル入りで密閉された飲み物(炭酸水やス   ポーツドリンク)を飲んで下さい。水道水や湧き水、氷は避けて下さい。

 *手指の衛生を行って下さい。
  ・石鹸や水で手をよく洗って下さい。石鹸が使えない場合はアルコールハンドジ   ェルを使用して下さい。
  ・食事前、調理前、浴室を使用した後、オムツを変えた後、咳やくしゃみの後は   とくに手を洗って下さい。
(平成22年6月3日 CDC情報)