海外感染症情報 (No.64)
平成22年7月8日
関西空港検疫所

ナイジェリアにおける鉱業に起因する鉛中毒の
大量発生について


 少なくとも今年3月以降、ナイジェリア・ザムファラ州において、金の抽出過程で使用される硝酸鉛による鉛中毒が小児の間で大量発生しています。
 3月から4月にかけて、ブックユムおよびアンカ地方行政区の複数の村で小児の患者や死亡例が増加していると、国境なき医師団が州保健省に報告しました。
 WHO、米国CDCはじめ複数の機関が調査した結果、ダレタ及びヤルガルマ村の100人以上の小児で平均血中濃度119μg/㎗という極めて高い鉛中毒を認めました(小児では10μg/㎗でも神経学的異常がみられます)。さらに、土壌の鉛濃度が100,000ppm以上であることも分かりました(米国やフランスでは、400ppm以上であれば居住が制限されます)。

 専門家チームによる調査で新たに5つの村で鉛汚染が確認されており、鉛に汚染された地域は今後さらに広がりを見せると考えられています。

 国際機関がザムファラ州と協力してダレタおよびヤルガルマ村の除染にあたっていますが、新たに見つかった5つの村まで手が回らないのが現状で、また小児や妊婦の患者発見・治療にもかなり多くの資源が必要とされます。
(平成22年7月7日 WHO情報)