海外感染症情報 (No.71)
平成22年7月26日
関西空港検疫所
パンデミック・インフルエンザ(H1N1)
流行状況について(19)

718日現在、世界の214以上の国と地域から18,366例以上の死亡例を含む新型インフルエンザの確定症例が報告されています。
 新型インフルエンザの活動性は世界的に低いままです。最もインフルエンザの活動性が高い地域は熱帯地域の主にアフリカ西部、中米、カリブ海諸国、南アジア、東南アジアですが、比較的狭い地域に限られています。
 南半球の温帯地域では、インフルエンザの活動性は全体的に低いままですが、ここ数週で著しく増加している地域も見られます。南アフリカでは、6月末以降呼吸器疾患検体でインフルエンザ陽性となる割合が急増していますが、季節性のB型およびH3N2インフルエンザウイルスが多く、新型インフルエンザウイルスはごく少数です。オーストラリアおよびニュージーランドでは、新型インフルエンザのほうが季節性インフルエンザよりも多く見られます。
 アジアにおける新型インフルエンザの活動性は、全体的に低いままです。新型インフルエンザの活動性がもっとも高い地域は、インド、カンボジア、シンガポールです。かなりの新型インフルエンザ感染がインド南部のケーララ州と西部のマハーラシュートラ州で見られます。カンボジアでは、呼吸器疾患に占めるインフルエンザ陽性(主に新型インフルエンザウイルスと季節性H3N2インフルエンザウイルスによる)の割合が6月初旬より増加しています。シンガポールでは、インフルエンザ様疾患と急性呼吸器感染症が前週よりも増加し流行閾値に達しましたが、インフルエンザ様疾患に占める新型インフルエンザ陽性の割合は15%で変化なく、新型インフルエンザウイルスと季節性のH3N2およびB型インフルエンザウイルスの共感染によるものと考えられています。
 サハラ以南アフリカでの状況は、前回から大きく変化していません。新型インフルエンザと季節性インフルエンザの活動性がいつくかの国で引き続き確認されており、ガーナでは新型インフルエンザの流行が6月から続いています。また、少数の季節性H3N2インフルエンザがアフリカ東部で引き続き確認されています。
 アメリカ大陸の熱帯地域での状況は、前週とほとんど変わりません。新型と季節性H3N2インフルエンザウイルスの共感染が見られる中米および南米の一部地域(コスタリカでは新型インフルエンザウイルスが、ニカラグアとパナマではH3N2インフルエンザウイルスが主なウイルスです)を除き、新型および季節性インフルエンザの活動は全体的に低いです。

(平成22年7月23日 WHO情報)