海外感染症情報 (No.75)
平成22年8月2日
関西空港検疫所
パンデミック・インフルエンザ(H1N1)
流行状況について(20)

2010730日−725日現在、世界の214以上の国と地域から18,398例以上の死亡例を含む新型インフルエンザの確定症例が報告されています。
 新型および季節性インフルエンザの活動性は、世界的に低い状態で推移しています。南半球温帯地域(現在、季節は冬)では、インフルエンザの活動性は引き続き地域によりまちまちです。チリとアルゼンチンでは活動性が低く、大きな変化はありません。オーストラリア、ニュージーランドでは活動性は低いものの、増加傾向にあります(オーストラリアでは2/3が新型インフルエンザで1/3が季節性インフルエンザ、ニュージーランドでは大半が新型インフルエンザ)。南アフリカでも増加が見られ、最近ピークを迎えました。程度の差はありますが、熱帯地域とくにアメリカ大陸のいくつかの国々および南アジア・東南アジアにおいて、季節性および新型インフルエンザの著しい流行が引き続き見られています。
 アジアで新型インフルエンザが最も流行している地域はインドの一部、とくに南部と西部のいくつかの州です。新たな感染例の大部分は引き続き、南部のケーララ州と西部のマハラシュトラ州で報告されています。とくにマハラシュトラ州では20107月第2〜3週における感染例が急増しており、少数の死亡例も含まれています。症例数は少ないものの、南部の他の州と東部の西ベンガル州でも新規感染例が報告されるようになってきています。隣国のバングラデシュでは、新型および季節性B型インフルエンザの低いレベルでの共流行が7月を通して見られました。
 サハラ以南アフリカ(南アフリカを除く)の状況は、東部のケニアでは季節性H3N2が、中部のカメルーンではB型インフルエンザの流行が続いているようです。西部のガーナでは、6月から7月初旬にかけて新型インフルエンザの流行が持続していました。 アメリカ大陸熱帯地域では、7月に季節性および新型インフルエンザの局所的な共流行が見られました。6月初旬以降、パナマとニカラグアでは主に季節性インフルエンザH3N2が、エルサルバドルとボリビアでは主に季節性インフルエンザB型が、コスタリカとコロンビアでは主に新型インフルエンザが流行しています。

(平成22年7月30日 WHO情報)