海外感染症情報 (NO.92)
平成22年9月10日
関西空港検疫所

アンゴラとコンゴ民主共和国でのポリオ(急性灰白髄炎)の流行状況について


 アンゴラとコンゴ民主共和国は野生株ポリオウイルス1型によるポリオの流行に直面しています。
  
アンゴラでは、20074月に始まったポリオの流行が今年に入って拡大し、同国内の従来汚染されていなかった地域(ビエ、ベンゴ、ウアンボ、ルンダ・ノルテ、ルンダ・スル、ウイジェの各州)のみならず、同国と国境を接しているコンゴ民主共和国・西カサイ州にまで及んでいます。今回の流行は12ヶ月以上続いているため、流行再燃に分類されています。
 
コンゴ民主共和国では、今年に入ってアンゴラから新たにウイルスが侵入したばかりでなく、東部のカタンガ州において本年620日に発症した麻痺症例で検出されたウイルスが、かつてアンゴラから侵入したウイルス(2008年を最後に見られていませんでした)と遺伝子上関連性があることも判明しました。2009年のブルンジにおける症例も同一のウイルスによる感染でした。これらの事実から、コンゴ民主共和国においてもポリオの流行再燃が確定的となりました。
 
現在、アフリカにおいてポリオ流行地域が拡大しているのはアンゴラだけであり、アフリカ中央部はポリオ撲滅運動にとって最大の障壁であると考えられています。地域間で監視体制に大きなばらつきがあるため、実際には野生株ポリオウイルスがより広範囲で蔓延しているという可能性も否定できません。現在のところ、アンゴラ、コンゴ民主共和国両国における対応は十分とは言えず、野生株ポリオウイルスが他国へ広がる危険性は高いと世界保健機関(WHO)は考えています。
アンゴラ、コンゴ民主共和国を出入りする渡航者は、予防接種により十分な抗体価を維持しておく必要があります。
(平成22年9月8日 WHO情報)