海外感染症情報 (NO.97)
平成22年10月6日
関西空港検疫所

セネガルでの黄熱発生について


 セネガル保健省は920日、首都ダカールから約50km離れたティエス州ンブール県で黄熱疑い症例が発生し入院施設に収容されたと発表しました。患者はガンビア共和国・タンジ周辺を漁場とする27歳の漁師で、発熱と黄疸を呈しており、ダカール・パスツール研究所での血液検査の結果、感染が確認されました。患者は黄熱の予防接種を受けていませんでした。同じくティエス州に住み、タンジ周辺を漁場とするもうひとりの漁師も中枢神経症状を訴え、意識混濁を来しましたが、検査結果は陰性でした。

世界保健機関(WHO)は、ガンビア政府に対しタンジ周辺の疫学調査のための情報提供を行いました。セネガル政府は2007年、それまでの流行時にワクチン接種を受けていなかった310万人以上を対象に大規模予防接種キャンペーンを実施しました。ティエス州では31万人余が対象となり、91.8%が予防接種を受けています。

セネガルでは2009年に黄熱の定期予防接種を受けた幼児は79%でした。1978-79年のガンビアにおける流行時には、およそ8,000人が黄熱に罹患し、1,700人が死亡したと推定されています。19791月時点の予防接種率は95%であったと考えられています。ガンビアでは2009年に黄熱の定期予防接種を受けた幼児は99%でした。

セネガル、ガンビアとも最近の定期予防接種率が高いことから、流行の可能性は高くなく、現時点では緊急の予防接種キャンペーンの必要はないと考えられます。
(平成22年10月5日 WHO情報)