海外感染症情報 (NO.35)
平成23年4月22日
関西空港検疫所
コートジボワールでのポリオ流行状況
 

2011421日現在、コートジボワールではポリオ野生株3型(WPV3)の流行が起きており、今年に入って新たに3例が報告されています。
 コートジボワールでWPV3が報告されたのは2000年以降初めてのことです。2008年~2009年にかけてアフリカ西部で起こったポリオ野生株1型(WPV1)の流行に伴い、コートジボワールでもWPV1の流行はありました。
 今回のWPV3検出によって、世界ポリオ撲滅運動に提出されているサーベイランス結果が適切なものではない可能性が示唆されています。世界的にWPV3の発生は少ないものであり、2011年も全世界で9例が報告されているにすぎませんが、残存しているWPV3の連鎖を早急に断ち切ることが最優先課題であるとしています。
 アフリカ西部においてWPV1の免疫を維持しつつWPV3の流行を阻止することが最も重要であるとして、15ヶ国(コートジボワール以外)で2011325日に2価経口ポリオワクチン(bOPV)と3価経口ポリオワクチン(tOPV)を用いた追加予防接種活動が行われ、429日にも実施される予定です。
 コートジボワールでは、最近の政治状況によって3月末の追加予防接種活動は行われていませんでした。状況が改善し次第で4月下旬と、さらに2回の全国予防接種デーでbOPV接種が行われる予定です。他の国連機関や非政府組織の協力により、特に避難民に対して、今後予定されているすべての予防接種活動においてもOPVが確実に供給できるよう調整が進められています。
 WHOは、コートジボワールやその他のポリオ発生があるアフリカ西部を渡航する際には、ワクチン接種により完全な免疫を獲得しておくよう推奨しています。過去にOPV23回受けている者は出発前に追加接種を行い、ワクチン接種歴がない者は渡航前に確実に完了させておくべきであるとしています。当該地域からの渡航者も同様に、出発前に最低1回のOPVを含めたワクチン接種を完了させておくことが勧められています。

(平成23年4月21日 WHO情報)