海外感染症情報 (No.36)
平成23年5月6日
関西空港検疫所
熱帯・亜熱帯地域におけるデング熱流行状況とその予防法

52日 − デング熱は、ほとんどの熱帯・亜熱帯地域で報告されています。病原体は類似した4つのウイルス(デングウイルス1-4型)で、蚊に刺されることで感染します。デングウイルスには田舎でも都市部でも感染する可能性がありますが、都市部での報告がほとんどです。以下は地域ごとの特徴です。
 【アフリカ・インド洋諸島】デング熱はどの国でもみられます。デング熱が存在しないとされる国から帰国した旅行者が感染していた事例もありますので、注意が必要です。
 【南太平洋地域】一年を通して感染する可能性があります。2011年はマレーシア、フィリピン、シンガポール、タイなどで報告されており、オーストラリアのクイーンズランド州北部でも散発しています。
 【アメリカ大陸とカリブ海諸国】汎米保健機構(PAHO)の発表によると、2010年は180万人以上、2011年は1月と2月だけですでに20万人以上の感染者(うち2,744人が重症)が報告されています。
 【中東】中東でもデング熱は散発しており、旅行者に人気のあるサウジアラビアのジッダも例外ではありません。
 予防の基本は蚊に刺されないようにすることです。デング熱を媒介する蚊は夜明けや夕暮れ時に刺すことがほとんどですが、とくに屋内や日陰、曇りの日にはあらゆる時間帯に活動性がみられます:@できるだけ、網戸または空調設備のあるホテルに滞在するようにしましょう。A屋外や網戸のない建物に滞在する場合は、虫除け剤を肌に直接塗りましょう。日焼け止めを同時に使用する場合は、まず日焼け止めを塗ってから虫除け剤を使用しましょう。虫除け剤はDEETなどの防虫成分を含むものを使用してください。通常、防虫成分の濃度が高いほど防虫効果が持続しますが、50%以上ではさほど変わりません。また10%以下の場合、せいぜい1-2時間しか効果は期待できません。生後2か月以上のお子様であれば、DEET成分が30%までの虫除け剤を使用することが可能です。B屋外では長袖・長ズボンを着用しましょう。ペルメトリンを含有する防虫剤を衣服の上から噴霧すればより効果的です。ただし、ペルメトリンを肌に直接噴霧することはやめましょう。

(平成23年5月2日 CDC情報)