海外感染症情報 (NO.51)
平成23年7月8日
関西空港検疫所

パキスタンでのポリオ流行状況

201177日現在、パキスタンのハイバル地区で16ヶ月幼児からポリオ野生株3型(WPV3)を検出したとの報告がありました。患児は201169日に麻痺を発症しました。
アジア圏内ではWPV3はほぼ撲滅されており、6ヶ月以上前に報告があった同地域からの20101118日の症例が最後でした。
パキスタン部族地域でのWPV3の流行によって、アジア圏内においてWPV3の発生がない地域への感染拡大が危惧されています。
またWHOは、パキスタン国内やパキスタン−アフガニスタン間の人口移動、またウムラやハッジといった巡礼に際する人口の大量移動によってWPV3の感染が拡大する危険性があると懸念しています。パキスタンへの渡航者で、過去に3回以上のOPV接種を受けている場合は、渡航前に追加接種が推奨されています。予防接種歴がない場合は、渡航前に完了させるようにして下さい。
パキスタンからの渡航者もパキスタン出国前に最低1回以上のOPVを含め予防接種を完了させる必要があります。ポリオ清浄国では、パキスタンからの渡航者に対してポリオ予防接種の完了を入国ビザ発行の条件とする可能性が出てくるかもしれません。
ウムラやハッジの開始に伴って、サウジアラビアは巡礼へ参加する渡航者全員に予防接種を要求しています。とくにポリオ発生国からの入国者に対しては、入国6週間前までにOPVを受けたことの証明と、入国時の追加接種が要求されます。


(平成23年7月7日 WHO情報)