海外感染症情報
(NO.72) |
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平成23年9月26日 関西空港検疫所 |
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パキスタン由来の野生株ポリオウイルスが国外伝播していることが確認されました |
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2011年9月20日、現在パキスタンで流行している野生株ポリオウイルス1型(WPV1)と遺伝的に関連性のあるウイルスが中国でも分離されています。パキスタンではWPV1が国中に拡大しており、2011年にはアジア大陸から根絶されようとしている野生株ポリオウイルス3型(WPV3)が唯一検出されている国でもあります。2011年9月13日時点で、同国では計84人の患者が報告されています(2010年同時期は48人)。 2011年のパキスタンにおける追加予防接種活動(SIAs)は政情不安定な一部地域では不十分なものであり、とくに連邦直轄部族地域(パキスタン北西部のアフガニスタンとの国境地帯)のハイバル管区では20万人以上の子供がこの2年間に行われたSIAsで予防接種を受けることができませんでした。また、地方によってサーベイランス方法に違いがあるため、確認できない流行が生じている可能性もあります。 WPV1がパキスタン国内で蔓延し国外伝播も確認されていること、同国でアジア唯一のWPV3が検出されたことなどから、世界保健機関(WHO)は同国由来のWPVがさらに国外へ拡大する危険性が高いとしています。とくにウムラ(小巡礼)やこれから行われるハッジ(サウジアラビアのメッカへの大巡礼)に際する人口の大規模な移動では危険性が高まると見込まれています。 |
(平成23年9月20日WHO情報) |