海外感染症情報 (NO.86)
平成23年11月14日
関西空港検疫所
ザムファラ州における鉱業に起因する大規模な鉛中毒について

  

  2011年11月11日現在、2010年3月に発覚したナイジェリア北西部ザムファラ州における大規模な鉛中毒は、今も州内3つの地域(アンカ、ブックユム、マル)の村々に影響を及ぼしています。
  被害が全て明らかになっているわけではありませんが、ナイジェリア連邦保健省の要請によって米国疾病予防管理センター(USCDC)が行った調査によりますと、ザムファラ州内の少なくとも43村で鉛中毒患者(血中鉛濃度10 μg/dL以上)が確認されているとのことです。うち7村ではキレート療法を必要とする小児患者(血中鉛濃度45 μg/dL以上)の治療が行われています。鉛除染やキレート療法、その他の支持療法等によって、7村の小児の死亡率は、2010年は43%でしたが2011年は1%にまで低下しています。
  現行の鉱業手法では事態は改善し得ないため、鉱石の加工場や貯蔵場所の移動、廃棄物の少ない新しい製造過程の採用、労働者が帰宅する前に除染を行うこと等の対策が行われています。世界保健機関(WHO)はナイジェリア政府に対し、ザムファラ州の鉛中毒患児の長期的なフォロー等も必要であると述べています。
(2011年11月11日WHO報告)