海外感染症情報 (NO.89)
平成23年11月24日
関西空港検疫所
インドネシア・バリ島での狂犬病流行状況について

  

  

200811月以降、インドネシア・バリ島において狂犬病の流行が続いています。2011111日時点で、流行発生以降100例以上の狂犬病死亡者がバリ島で報告されています。ヒトおよび動物の狂犬病は観光者に人気のある島内各地で確認されており、狂犬病コントロール活動が行われているにも関わらず流行が続いている状態です。

狂犬病とは、急速に進行し死亡するウイルス性疾患です。ほとんどが動物の咬傷により感染しますが、狂犬病動物の唾液が眼や鼻や口、傷のある皮膚に直接接触することでも感染することがあります。ヒトへの主な感染源となる動物は、イヌやその他の野生動物(キツネ、アライグマ、マングース、コウモリ)などです。

全世界では毎年およそ50,000人が狂犬病で死亡しており、そのほとんどが子供です。海外渡航の際には狂犬病感染の危険性が高くなります。

狂犬病発生国へ渡航する場合は、狂犬病ワクチン接種(曝露前3回)を考慮して下さい。ただし曝露前接種を完了していても、咬傷や引っ掻き傷を受けた場合は速やかに医療機関を受診する必要があります。曝露を受けた場合は、直ちに創部を石鹸と水で洗浄し、医療機関で曝露後ワクチン接種を受けなければなりませんが、地域によっては適切な処置が受けられない場合があります。国外緊急移送が必要になることもありますので、渡航前に保険の補償範囲を確認するようにして下さい。

狂犬病発生国では、野生動物およびペットを含め、全ての動物との接触を避けるようにして下さい。海外ではペットでも狂犬病ワクチンを接種していない場合があります。子供同伴の渡航では、子供は咬傷などを受けたと伝えないことがありますので、イヌやネコ、サルなどが周囲にいる場合はとくに注意して下さい。ペットを連れて渡航する場合も、他の動物と接触をしていないか気を付けるようにして下さい。

(2011年11月23日CDC報告)