海外感染症情報 (NO.94)
平成23年12月7日
関西空港検疫所
マレーシアにおけるサルコシストーシスの流行について



 マレーシアから帰国した渡航者の中に、サルコシストーシスの集団感染が発生していることが報告されています。これらの渡航者はいずれも発症する前に、マレーシア半島東沿岸沖の、ティオマン島を訪れていることが分かっています。
 サルコシストーシスとは、肉胞子虫と呼ばれる寄生虫によっておきる感染症です。この疾患は、主に東南アジアの熱帯・亜熱帯気候の国々で起こります。通常、サルコシストーシスは動物に見られますが、ヒトがかかることもあります。この疾患は、2つの形をとります。1つは下痢で、もう1つは筋肉痛・発熱・その他の症状です。サルコシストーシスにかかった人の多くは、症状を示しません。今回マレーシアからの帰国者たちは、著明な筋肉痛を示しており、サルコシストーシスの症状と一致しています。他の症状は、軽度の下痢と発熱です。ほとんどの人は、2週間から4週間の間、症状が続いています。筋サルコシストーシスは、感染した動物のフンによって汚染された食物・水・土を摂食してしまうことによって感染が拡がります。今のところ、ワクチンや治療薬はありません。多くの感染者は自然治癒します。
(2011年12月6日CDC報告)