海外感染症情報 (NO.103)
平成24年11月26日
関西空港検疫所
スーダンにおける黄熱の流行(2)
11月20日、スーダン連邦保健省はダルフールにおいて、黄熱に対する住民のワクチン接種活動を開始したとのことです。11月17日現在、26の地域で感染が拡大しており、116人の死亡例を含む459人の疑い例が報告されています。患者2人については、黄熱診断のためのWHO地域標準検査室であるセネガルのダカールパスツール研究所において、IgM ELISAテストとRT-PCRにて確定診断されました。WHOの支援を得て保健省が指揮している流行調査チームは現地に入り、流行の規模の把握と住民ワクチン接種活動の優先順位づけを開始しています。
黄熱ワクチン提供に関する国際調整グループ(YF-ICG)や国連中央緊急対応基金(CERF)、国際民間機構(INGOs)らの支援により、ワクチン接種活動はダルフール地区の12地域において、およそ220万人の住民に対して行われる予定です。
YF-ICGとは、緊急対応のための黄熱ワクチン備蓄を管理する組織で、ユニセフ・国境なき医師団(MSF)・国際赤十字・赤新月社連盟・WHOが参加しており、WHOは事務局としての役割も果たしています。
現在、国際赤十字、MSFベルギー、同スペイン、同スイス、マーリン、セーブ・ザ・チルドレン・スイス、国際医療隊(IMC)からなる7つのINGOsがワクチン接種活動で優先度が高いとされた12の地域で活動を行っています。
WHOは同国保健省を支援し、疫学的状況と感染拡大のリスクを把握するために現地調査を行っており、疾患調査のシステム強化および検体採取や診断能力強化のための医療スタッフの実務研修も行っています。
WHOは地球規模感染症に対する警戒と対応ネットワーク(GOARN)を活性化し、同国の活動に対して追加支援を早急に行う予定です。
(2012年11月22日WHO報告)