海外感染症情報 (NO.61)
平成24年8月23日
関西空港検疫所
シエラレオネにおけるコレラの発生について

 今年の初めからシエラレオネでは11,653例のコレラ患者が報告されており、うち216名が死亡(死亡率1.9%)しています。8月の初めから新規発生例が急に増加しており、今月に入り発生例は5,706例におよび、新たにボンテとコノの2地域が流行地となっています。現在同国の13地区のうち10地区で患者の登録が進んでおり、この病気の拡がりから、早急に対応の規模を拡大させることが求められています。
 最も流行しているのは西部地域とトンコリリ地区です。
 同国の大統領はコレラの流行が拡大するのは「人道上の危機」であるとのべています。それをうけて保健衛生省(MOHS)、経済、通商などの各省、地方自治体やパートナー、その他の関係者などを巻き込んだコレラ対策への多面的なアプローチがなされています。国家緊急対策本部がサーベイランス、患者管理、上下水道管理、物資調達および社会的動員に関する委員会を傘下において設立されています。WHOシエラレオネ事務局は、前述の各部署同志がより良く協力しあって戦略的に援助が実施できるよう、毎週のミーティングで議長役を担っています。保健衛生省は国境なき医師団(MSF)、国連児童基金(UNICEF)、世界保健機関(WHO)やその他のパートナーと協同で以下の内容について予防と制圧の活動を実施しています。すなわち疫学調査、サーベイランス、コレラ治療センターでの患者管理、上下水道管理対策、社会的動員と教育についての活動等です。WHOはシエラレオネにおける流行地で社会的動員やサーベイランスについて支援を実施しています。
 すなわち2名の疫学者と3名のコレラの専門家をジンバブエから派遣し、協同活動、情報発信、社会的動員、患者と疾病のコントロールを支援しています。
 WHOはシエラレオネに対する旅行や、交易についていかなる制限も推奨していません。 

(2012年8月22日WHO報告)