海外感染症情報 (NO.63)
平成24年8月31日
関西空港検疫所
シエラレオネにおけるコレラの発生について(2)

シエラレオネにおけるコレラの流行状況
  (2012830)

シエラレオネでは今年に入り、13,934人のコレラ患者を記録し、うち232人が死亡しています(致死率1.7%)。8月に入ってから新規患者の発生率は急激に上昇しています。同国13地区のうち11地区で患者が発生しており、中でも西部地域とポートロコ地区で最も状況は深刻となっています。最近感染が確認された地域はケネマ地区です。

シエラレオネ大統領は、増大するコレラの流行を「人道主義的な危機」と宣言し、大統領の下に同国ではコレラ対策本部が設けられました。

またコレラ流行への対応活動をうまく調整するため、コレラ管理制御センター(Cholera Control and Command Centre)がフリータウンにある世界保健機構
WHO)国事務局に設置されました。この方法は、2008年から2009年にかけてのジンバブエでのコレラ流行における対応の際にすでに用いられ、効果的であることが証明されています。

コレラ管理制御センターの1回目の会議は今月28日に開催され、その後毎日行われています。同センターは、サーベイランス、患者管理、水質衛生、物資の調達と社会的動員に対処する技術部会から構成されています。

保健衛生省は、国境なき医師団(MSF)、国際連合児童基金(UNICEF)、世界保健機構(WHO)、その他のパートナーと協力し、疫学的調査、サーベイランス、設置されたコレラ治療センターにおける患者管理、水質衛生管理、社会的動員と地域での教育といった予防対策活動を実施しています。

世界感染症警戒・対応ネットワーク(GOARN)は、バングラデシュ国際下痢症疾病研究センター(ICDDR,B)から、長年に渡って国際的なこれら対策の経験を持つ、患者管理と検査部門の専門家を同国へ派遣しました。

なお、WHOはシエラレオネへの渡航、および交易については制限することを推奨していません。

(2012年8月30日WHO報告)