海外感染症情報 (NO.64)
平成24年8月31日
関西空港検疫所
コンゴ民主共和国におけるエボラ出血熱の発生(3)


コンゴ民主共和国におけるエボラ出血熱の流行状況

コンゴ民主共和国保健省は、引き続き関係機関と協力し、エボラ出血熱の流行拡大を抑えようと努めています。828日現在でのオリエンタル州における患者数は24人(可能性例6人、確定例6人、疑い例12人)、死亡者数が11人報告されています。患者数の内訳はイシロ地区:患者数17人、うち死者9人、ヴィダナ地区:患者数6人、うち死者2人、ドゥング地区:患者数1人、死者0人です。イシロ地区の死亡者には3人の医療従事者も含まれています。今のところオリエンタル州以外の地域でのエボラ患者は報告されていません。

ウガンダのエンテベにあるウガンダウイルス研究センターで検査したところ、2人の患者から採取された検体でエボラウイルス(ブンディブギョ株)感染が確認されました。

米国疾病予防管理センター(CDC)は患者管理と疫学調査の支援のため、イシロ地区に現地研究所を設立しました。同国保健省によって召集された対策本部は、世界保健機構(WHO)、国境なき医師団(MSF)、国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)CDC等のパートナーと共に対応に当たっています。

保健省、WHO、MSFから成る緊急対応チームは、現地において詳細な疫学調査や患者管理の支援を行っています。またWHOは、保健省を支援するため、アフリカ地域事務局と本部から疫学者、物資調達担当者を派遣し、調整、サーベイランス、疫学、集団発生に対応するための物資調達、情報公開、社会的動員の各分野で、関係機関と緊密に連携し、対応しています。

 世界感染症警戒・対応ネットワーク(GOARN)は、現在進められている対応に影響を与え得る地域住民の社会的な問題について、より理解を深めることを支援するため、フランスの国立自然史博物館から人類学者を派遣しました。
 なお、WHOはコンゴ民主共和国へのいかなる渡航や交易の制限も勧めていません。また、今のところ同国のエボラ出血熱の流行が、最近ウガンダのキバレ地区で発生したエボラ出血熱の流行と関連していることを示すものは認められていません。  
(2012年8月30日WHO報告)