海外感染症情報 (NO.65)
平成24年9月4日
関西空港検疫所

ウガンダにおけるエボラ出血熱の発生(6)



2012年9月3日、ウガンダのキバレ県におけるエボラ出血熱例は8月3日以後新たには確認されていません。即ちアウトブレイクは終結した事になります。今回のアウトブレイクでは可能性例と確定例併せて24例となり、うち17例は死亡しました。これらの例の中で11例についてはエンテベにあるウガンダウイルス研究所(UVRI)で検査により診断が確定されました。最後に確定例となった患者も8月24日には回復し、退院しました。
 可能性例及び確定例と接触した人は全員毎日経過観察され、推奨されている21日の監視期間が、いかなるエボラ出血熱の兆候もなく終了しました。
 今回のエボラ出血熱のアウトブレイク対応に関わったパートナーらは、強化サーベイランス、医療施設における心理社会的なサポート、感染の予防とコントロール等、必須の機能を継続維持するため、国及び地方当局に仕事の重心を移していっています。
 エボラ出血熱患者のキバレ県病院とカンパラのムラゴ国立病院の隔離施設は、現在も疑い例の受け入れ準備を整えた状態を維持しています。
 キバレ県の生態学調査チームは、エボラウイルスの自然史と野生生物からの推測されるヒトへの感染を調べるためにコウモリ、霊長類、家畜からサンプルを集めています。


近隣諸国

 現在も、コンゴ民主共和国のオリエンタル州ではエボラ出血熱のアウトブレイクは継続しているところです。ウガンダとコンゴ民主共和国のエボラ出血熱のアウトブレイクは疫学的には一連のものではなく、異なる亜型のエボラウイルスが原因となっています(ウガンダはスーダン株のエボラウイルス、コンゴ民主共和国はブンディブギョ株のエボラウイルス)。
今回の出来事に対してWHOはウガンダへのいかなる旅行も交易も制限することを推奨はしていません。


エボラウイルスの亜型についての情報

エボラウイルスは5種の亜型が分離されています。これらはそれぞれの亜型の名称はエボラ出血熱のアウトブレイクが初めて発生した地域の名前に由来しています。このうち3つの亜型についてはアフリカで大きなエボラ出血熱のアウトブレイクをおこしたものです。(ザイール株、スーダン株、ブンディブギョ株)エボラ出血熱は致死率25-90%にいたる有熱性出血性疾患です。フィリピンでみつかったレストン株は人にも感染し得ますが、ヒトの感染例や死亡例はこれまで報告がありません。

(2012年9月3日 WHO報告)